弊社が現在行っている、環境省の中小企業向けSBT・再エネ100%目標設定支援事業について、これまで3回に渡り紹介しています。
1回目「【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】何から始めればいいの? 」
2回目「【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】SCOPE1,2の計算方法!」
3回目「【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー1,2,3の計算方法!」
4回目は、SCOPE3の【カテゴリー4 輸送、配送(上流)】についてです。
※SCOPEとは何か、については、第1弾をご確認ください。
SCOPE3 カテゴリー4 輸送、配送(上流)ってどうやって算定するの?
カテゴリー4は輸送、配送(上流)に伴う温室効果ガスの排出です。輸送手段や入手可能なデータの種類により、いくつかの算定方法があります。
弊社は輸送時の燃料消費量や燃費のデータを入手できなかったので、トンキロ法という、輸送する重さ(トン)に輸送距離(キロ)を乗じ、排出原単位を用いて算定することにしました。
トンキロ法では、【どこから(生産拠点)】、【何で(例:10トントラック)】、【どれくらいの重さのものを】、【どこまで運ぶか】を把握し算定します。
どこからどこまで輸送している?
弊社の報告対象年度に購入した製品、サービスの移動距離を把握するため、購入した製品、サービスの仕入れ先を調査したところ、75%は業務用エアコンや関連部品ということがわかりました。
そこで、仕入れ先3社のご担当者様に下記の質問をさせていただきました。
- 業務用エアコンの主な【生産拠点】
- ②【配送センターや物流倉庫の場所】
- ①~②までの輸送に使う主なトラックの大きさと平均的な積載率(10トントラック75%の積載率)
- ②~弊社作業現場までのトラックの大きさと平均的な積載率(4トントラック62%の積載率)
生産場所や物流センターの場所は各メーカーとも国内で、比較的すぐに教えてくださいました。
トラックの大きさと平均的な積載率は、工場に確認していただき、大まかな目安を教えていただきました。
生産拠点から配送センターまでの各社の配送距離は最も長い距離を算定に使いました(600㎞)。
何トン輸送している?
報告対象期間中に輸送、配送した業務用エアコンの重さを把握するために、設置台数を調査しました。室内機の台数記録はなかったのですが、室外機の設置台数を出すことができました。
この台数をもとに、室外機の重量を100kg、室内機の重量を25kgと設定し、1対1と仮定させていただき、業務用エアコン設置台数×125kgを輸送する場合として算定しました。
作業場所の割合を把握する。どこに商品を納めている?
次に、報告対象期間の業務用エアコン納入先を地図上にプロットし、主な納入場所を把握しました。東京を中心とした半径100キロ圏内に納入している割合が約77%を占めることがわかりました。
これらの情報から下記の計算式で算定しました。
■計算式
125㎏×設置台数×600㎞(生産拠点から配送センターまでの最長距離)×10トントラック積載率75%の排出原単位t-CO2/tkm
※資料②
+
125㎏×設置台数×100㎞(配送センターから納入先までの距離)×4トントラック積載率62%の排出原単位t-CO2/tkm
※資料②
※資料②
カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベースVer.1.01 (国内データ)
最後に
カテゴリー4は、企業それぞれで日頃からどのようなデータを記録しているか、により算定方法は変わってきます。ここでは、考え方や使用した排出原単位などをご参考いただければ幸いです。
・【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー5 廃棄物
・【SCOPE3 算定に挑戦!】カテゴリー6,7,11,12!
・ 2020年3月 環境省 「中小企業版SBT 再エネ100%支援事業」結果公開
※2023年10月、弊社はSCOPE3の算定方法を見直しました。SCOPE3の算定方法は各社独自のものなので、正解はないのですが、弊社の算定方法の見直した内容については下記をご参照ください。
◆【SBTやSCOPE算定】5年目の”見直し・再計算”ってどうやるの?