2019年12月2日からスペインのマドリードで開催されているCOP25は、190か国が集まり、気候変動の加速を食い止めるために、パリ協定1.5度目標を目指し、各国政府の温室効果ガス排出削減目標の引き上げや詳細なルールの合意を目指しています。
目次
世界の厳しい状況と日本の立場
気候変動に関する国連の科学的活動を世界気象機関(WMO)と支援している、国連環境計画(UNEP)の新しい報告書【排出ギャップレポート】では、現行の国別約束(NDC)が達成されたとしても、さらに320億トン(CO2換算)の温室効果ガスの削減が必要と報告しています。
この報告書で日本政府の課題として、
- 石炭火力発電所建設を中止し、既存の石炭火力発電についても段階的に廃止すること
- 100%炭素ゼロの電力供給を実現するエネルギー基本計画を策定すること
- カーボンプライシング(炭素に価格を付けること)水準を引き上げること
- 再エネ電力由来の電気自動車の利用者を増やす計画を策定すること
- ネットゼロ建築やネットゼロ住宅に向けたロードマップを実施すること
などを指摘しています。
引用:https://www.unenvironment.org/interactive/emissions-gap-report/2019/
小泉進次郎環境相はCOP25で何を発言するのでしょうか?
9月の国連気候行動サミットでは77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を公表しましたが、日本は参加を見送りました。
主要7カ国(G7)で日本だけが、石炭火力発電所の新設と、石炭火力発電プラントの輸出を続けている状況の中、COP25で12月11日に小泉進次郎環境相が演説する予定です。
批判が予想される中、何を打ち出すのかが、注目されます。
日本国民の意識は?
日本国民の意識はどうなのでしょうか。少し古いですが環境省の2016年の意識調査データを紹介します。(有効回答数は1640人、その他の条件は下記の引用参照)
気候の変化は94.1%が気づいており、76.7%は既に影響を実感している
気候変動や温暖化のために78.2%が電気、ガスなどのエネルギー使用量を
減らしてもいいと思っている。
経済より環境重視は25.7%、経済重視が26.4%
日本に適している電力は78%が太陽光、67.9%が水力、67.1%が風力
大半は再生可能エネルギーが適していると回答
行動を変える必要があると回答したのは72.6%
一人では解決できないと考えているのは73.6%
引用:https://www.nies.go.jp/whatsnew/2016/jqjm10000008nl7t-att/jqjm10000008noea.pdf
最後に
環境省の意識調査によると、この調査に参加した方々の気候変動に対する関心は低くなく、大半の方が行動の必要性を感じていることがわかります。
ただ、最後に紹介した質問にあるように、【自分一人では解決できない、自分だけ何かしても仕方ない】という思いが、行動や変化を妨げていると考えられます。
日本の対応が遅れている要因は、私たち自身が【自分一人では対応できない → どうすればいいかわからない → 考えない 】という思考回路から無関心が広がり、結果として、早急に行動が求められている世界の流れから取り残されてしまったのではないでしょうか。
昨今日本でも、世界経済の脱石炭火力燃料、脱プラスチックの動きや、災害被害の拡大を受け、少しずつ危機感が増してきています。
様々な分野の方々が行動を起こし、つながることで、気候変動への取り組みを少しずつでも大きくすることができます。弊社もその一員として、できることから地に足をつけて行動して参ります。