夏場のエアコントラブルで最も多いトラブルが水漏れです。弊社の2022年度の修理件数は9000件以上でしたが、そのうち約20%が水漏れ対応でした。
近年の猛暑でエアコンのトラブルは増加していますが、夏場はエアコンにトラブルが発生しても、メーカーや修理業者の対応が追い付かず、連絡がつながりにくかったり、連絡がつながったとしてもすぐ対応に来てもらえなかったりして、仕事に支障が出てしまう事が考えられます。
そこで、業務用エアコンから水漏れが発生したときに、応急処置として自分で水漏れを解消できる可能性がある水抜きの方法をご紹介します。(※メーカーによりできない場合がございます)
目次
自分で水漏れ対応できるのはどんな水漏れ?
室内機の吹き出し口からぽたぽた水が出てくる水漏れは、自分で対応できる可能性があります。
ポイントは吹き出し口から、というところです。吹き出し口ではなく天井から漏れてくる水漏れは、天井裏の配管が原因の可能性が高いため、自分で対応する事は難しいです。
室内機の吹き出し口から水漏れする原因
考えられる原因は、
①ホコリや汚れで詰まっていて結露水がドレンパンに溜まり溢れてきている
エアコンは室内の空気や外気の空気を取り込み、温度調節して室内に吹き出します。その際、空気中のほこりや油脂分、小さなゴミがエアコン内部に付着します。
このほこりや油脂分、ゴミが結露水により、ドレンパンという受け皿に溜まっていきます。そこに細菌が繁殖するなどして汚れが蓄積していきいます。
ドレンパンに溜まった結露水はドレンポンプやドレンホースを通じて外部に排出されるのですが、汚れで詰まることで結露水が排出されず、あふれ出すことで水漏れが発生します。
この溜まった水を出すことで、一時的に水漏れが解消する可能性があります。
※水を出すだけではエアコン内部のホコリや汚れを取り除けない為、後日洗浄しないと水漏れが再発する可能性が高いです。
◆エアコン内部の汚れについて詳しく知りたい方は下記もご参照ください。
【ここが違う!エアコン掃除 ここまで分解します!】
【プロが教える!エアコン掃除 使用場所ごとで掃除の頻度はどう違う?】
②ドレンポンプの劣化、故障
部品交換が必要になるため、自分で対応することは難しいです。
③ドレン配管の劣化、故障
部品交換が必要になるため、自分で対応することは難しいです。
④他(冷媒不足や機器の不良等)
機器診断が必要になるため、自分で対応することは難しいです。
工具なし!自分で水漏れ対応ができるエアコンのタイプと水抜き方法
自分で水抜きできる業務用エアコンは限られていますが、天カセ4方向で、パネルを外した時、下の写真のようになっているタイプは自分で対応することができます。
用意するもの
・バケツ
・雑巾
注意事項
- 多いと10Lくらい水が溜まっている可能性があります。片手で支えられない可能性があるので、2人で行ってください。
- 濡れると困るもの(PCや電話等)は予め移動し、エアコンの下は濡れても問題ない状態で行ってください。
- 衣服が汚れた水で汚れる可能性があります。ご注意ください。
- 水がこぼれた場合、足場が滑りやすくなります。転倒にご注意ください。
- 脚立を使用する場合はヘルメットを使用したり、脚立を支えてくれる方を呼ぶなど、転倒に十分気を付けて下さい。
- 危険な場合は無理せず修理業者に対応を依頼してください。
水抜き方法
1、パネルを開ける。
2、バケツと雑巾をセットする。
3、水抜き用ゴム栓(ゴムキャップ)を開ける。※水が出てくるので濡れないように注意
4、水が出たら、排水口周辺の汚れをとり、水抜き用ゴム栓を閉める。
5、パネルを戻す。
ドライバーがあれば水抜きできるタイプ
※緊急時の対応として載せていますが、お勧めはしておりません。
下記方法は弊社の水漏れ対応時に行ってる対応ではありません。(弊社の水漏れ対応は洗浄をして原因を取り除いたり、部品を確認することで対応致します)
それを踏まえたうえで、ドライバーを使って外装を外すことでできる水漏れの対応方法をご紹介します。
一般的な水漏れ対応方法ではありませんので、実施する際は以下の注意事項をお読みになってからご対応ください。また、以下の作業を行って生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いかねます。
注意事項
- 通常は開けない水抜き用ゴム栓を開けることで、機器自体の水漏れのリスクを高める可能性があります。
- 汚れの詰まりが原因で水漏れが発生した場合は、下記方法で水を抜いても、取りきれなかった汚れの詰まりにより、水漏れが再発する可能性があります。
- 何度も水抜き用ゴム栓を抜くと水漏れしやすくなるため、実施する回数は1度きりか、多くても2度までとしてください。
- 古いタイプの場合、水抜き用ゴム栓がはまらなくなる可能性も考えられます。その場合は無理に対応せず業者に依頼してください。
- 不慣れによる作業で何だかの部品が壊れた場合、余計な修理費用や時間がかかってしまうことも考えられます。
- 多いと10Lの水が溜まっている可能性があります。片手で支えられない可能性があるので、2人で行ってください。
- 濡れると困るもの(PCや電話等)は予め移動し、エアコンの下は濡れても問題ない状態で行ってください。
- 衣服が汚れた水で汚れる可能性があります。ご注意ください。
- 水がこぼれた場合、足場が滑りやすくなります。転倒にご注意ください。
- 脚立を使用する場合はヘルメットを使用したり、脚立を支えてくれる方を呼ぶなど、転倒に十分気を付けて下さい。
- 危険な場合や少しでも自信がない場合は、無理せず修理業者に対応を依頼してください。
用意するもの
・バケツ
・雑巾
・ドライバー
ドライバーを使うタイプの水抜き方法
1、パネルを開ける
2、パネルを外す(紐でつるしてあります)
3、四隅パネルを外す
※内部が爪で引っかかっている為そっと両手で外してください。
※落下防止の紐が付いている場合、それも外します。
4、ドライバーを使い、電気ボックスカバーを外す
5、カプラーを外す
※風向きを調節するルーバーを動かすための部品で、外装とつながっています。
6.ドライバーで外装パネルのビスを緩める
※落下したり一か所に重さが集中しないよう、対局のビスを緩めてください。
7、外装パネルの四隅の爪を外す
※四隅パネルの内側に、外装を支えている爪が四か所ある場合があります。その爪を外します。
8、外装パネルのフックを外す
※エアコン中央の両サイドにも落下防止のフックがかかっている場合は、両手で外装を支えながらフックを外してください。
9、バケツと雑巾をセット
10、水抜き用ゴム栓を開ける。※水が出てくるので濡れないように注意
※水抜き用ゴム栓が開かない場合は無理に開けるとゴムが破損して復旧できなくなるため、中止して修理業者を呼んでください。
11、水が出たら、排水口周辺の汚れをとり、水抜き用ゴム栓を閉める。
※水抜き用ゴム栓が閉まりにくい場合は水で濡らしてみてください。
※緩んだ状態だとそこから水漏れする可能性があります。
12、元に戻す
※外装の落下防止フックや爪をしっかり元に戻し、電気ボックスのカプラーもつなげ、ビスもしっかり止めて、四隅パネルも丁寧にはめ込んでください。
※パネルの落下防止の紐も忘れずに取り付けてください。
※くれぐれもエアコン外装の落下にご注意ください。(外した爪やフックは確実に付け直してください)
上記方法でも水漏れは改善されない場合がございます。
また、ご自身の取り付け不備等で落下や破損、故障が生じても弊社は一切の責任を負いかねます。
予めご了承ください。
それ以外の機種の場合
ご自身での水抜きはお勧めできません。塩ビカッターやソケットなどが必要になることや、一時的な対応では根本的な原因を解決できない為、再発する可能性が高く、再発時の対応が複雑になってしまいます。
修理業者に依頼してください。
最後に
今回ご紹介した水抜きの方法は、あくまで応急処置であり、原因が汚れの詰まりの場合に、該当するエアコンで対応が可能な方法です。別の原因で水が漏れている場合は、上記方法をやっても水漏れが解消しない可能性があることをご了承ください。
またメーカーや機種によって構造が多少異なります。違和感があったり、分からなくなったりした場合は元に戻し、業者に水漏れ対応を依頼してください。高価なエアコンそのものが故障しないよう、十分お気を付けください。
業務用エアコンの水漏れを根本的に解決するためには、専門知識のあるエンジニアが診断して原因を特定し、対応(エアコンの分解洗浄や部品交換)する事が必要です。
ただ、「今日だけは何とかしたい」という時で、対応できそうなタイプのエアコンだったら、応急処置の方法さえ知っていれば、その場を切り抜けることができるかもしれません。
飲食店などの店舗で月末の売上がかかっている時、大きなイベントがある時、大切なお客様がいらっしゃる時などに限って、エアコンの水漏れが発生することもあると思います。そんな時に、お役立てください。
※水漏れが度々起こったり、修理頻度が多かったり、古いエアコンの場合は、エアコン工事をご検討ください。
【こちらも参考にしてください】
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