2019年3月19日 環境省と経済産業省で、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されたことが同時発表されました。
目次
1、どうして法改正されるの?
世界の平均気温が上昇し続ける中、2080年の気温上昇を1.5度~2度未満に抑えるためにパリ協定が採択され、日本も2050年までに温室効果ガスを80%削減することを世界に約束しました。
温室効果ガスは二酸化炭素だけでなく、温室効果係数の高いフロン類(温室効果係数は二酸化炭素の675~3920倍)も含まれています。
フロン類は大気中に排出されないよう、フロン排出抑制法で回収や破壊処理のルールが定められています。しかし、大気中への漏えい量は削減どころか、昨年より8万トンも増えています。
(参考:フロン類漏洩量公表 8万トン-CO₂ 前年より増加!)
【原因】
① 機器の廃棄や建物解体時のフロン回収率が3割程度しかない。
② 廃棄物・リサイクル業者が機器がを引き取る際に、フロン回収作業がされているかを確認する仕組みがない。
上記を踏まえ、さまざまな対策や仕組みを整備するために法律が改正されました。
出典:経済産業省
2、何が変わるの?
フロン類を使用した設備や機器の廃棄や解体方法が変わります。(詳しくはまだ決まっていません)
回収作業が行われるようにする対策
廃棄物・リサイクル業者などへのフロン回収済み証明の交付を義務付け (充填回収業者である廃棄物・リサイクル業者等にフロン回収を依頼する場合などは除く)
建物解体時の廃棄への対策
建設リサイクル法解体届等の必要な資料要求規定を位置づける 解体現場等への立入検査の対象範囲を拡大 解体業者等による機器の有無の確認記録の保存を義務付ける 等
廃棄機器を引き取る際、フロン回収を確認する仕組み
廃棄物・リサイクル業者等が機器の引き取り時に、フロン回収済み証明を確認できない機器の引き取りを禁止(廃棄物・リサイクル業者等が充填回収業者としてフロン回収を行う場合などは除く)
出典:経済産業省
3、どうしたらいいの?
環境省と経済産業省によると、今回の閣議決定後に国会へ提出し、通過すれば来年以内に改正法を施行できるよう動いていく、とのことでした。まだ具体的な流れや必要書類などはわかっていません。ただ、出来ることはあります。
フロン類が使われている設備、機器の確認、把握
フロン類が使用されている機器や設備はエアコンだけではありません。製氷機やショーケース、ビールサーバーなど多岐にわたります。まずはどの設備や機器にフロン類が使用されているのか確認し把握しましょう。
※出典:JRECOの管理者の運用の手引き
過去に廃棄や解体したことがあったら、その時の処理方法を確認
過去にフロン類を使用した機器や設備を廃棄したり解体したりしたことがあれば、その時の処理方法を確認しておきましょう。
誰に聞けばわかるのかや、どのような業者が関わっているのかなど、連絡先や管理状況を確認しておくと、いざ改正された法律が施行されても慌てることなく対応することができます。
今のフロン類の管理が法律に沿っているか確認
法改正が施行された場合、立入検査対象範囲が拡大されます。立入検査では廃棄や解体等に関わる法改正部分以外の、現行の法律に沿った管理ができているかも検査される可能性があります。
今のうちに現行の法律を見直し、書類が揃っていない、管理体制が整っていないといった状況にならないようにしましょう。
4、最後に
業務用エアコン10馬力1台に使用されているフロン類が漏洩した場合、車で地球3周できるほどの温室効果ガスが大気に排出されてしまうそうです。
世界中で温室効果ガス削減の重要性が叫ばれる中、1台1台のエアコンや冷凍冷蔵機器の管理の重要性を考えさせられます。
何かと管理や義務があるフロン類ですが、ノンフロンや自然冷媒の機器も登場しており、将来的には温室効果ガスとは無縁の冷凍冷蔵機器が主流になる日がくるかもしれません。
それまでは少しでもフロン類の漏洩を防げるよう、弊社としても日々の点検、修理と廃棄を伴うエアコン工事作業に対し、適切に取り組んで参ります。
参考記事:
・業務用エアコンに点検義務があるってご存知ですか?
・フロン改正法案成立、抑えたい2つのポイント!
・エアコンの2020年問題?R-22全廃
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