「水銀に関する水俣条約」で2021年以降水銀灯の製造・輸出入が規制されます。水銀灯は外灯や、高天井用の照明器具、スポーツ施設照明などに多く使用されていますが、現在使用されている電球の中には規制対象になるものが出てきます。
①使用している電球が規制の対象なのか、対象外なのか。
②蛍光灯は現状規制の対象外だが今後どうなるのか。
この2点について正しく理解しましょう。
1、規制対象の水銀灯とは
今回、規制対象になるものは「一般的な照明用の高圧水銀ランプ(水銀に関する水俣条約より)」です。具体的には、水銀含有量に関係なく水銀灯であれば規制を受けることになります。
※水銀灯、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどは「HIDランプ」と総称され、ランプにHIDランプと表記されていることがあります。
2020年までに廃止予定品
・水銀灯(H、HFで始まる品番)
・セルフバラスト水銀ランプ(BH、BHRF などで始まる品番)
2020年以降も継続生産、輸入可能品
・メタルハライドランプ
・セラミックメタルハライド
・高圧、低圧ナトリウムランプ(HPS、LPS)
・コンパクトメタルハライド
※一般的な蛍光灯などにも水銀は含まれている場合がありますが、規制の対象となる含有量ではありません。(規制値5~10㎎以下であれば製造、販売が可能)
※規制対象かどうかは、電球の型番をご確認ください。
特定水銀使用製品
水銀が使用されている製品を「水銀使用製品」と言いますが、その中でも規制が必要とされるものを「特定水銀使用製品」といいます。
特定水銀使用製品 | 規制開始日 |
一般照明用のコンパクト形蛍光灯ランプ及び電球形蛍光灯ランプで、発光管一本当たりの水銀の含有量が5㎎を超えるもので、定格消費電力が30ワット以下のもの | 2018年1月1日 |
一般照明用の直管形蛍光ランプのうち、次にあげるもの ①一個当たりの水銀の含有量が5㎎を超えるもので、定格消費電力が60ワット未満のもののうち、3波長形の蛍光体を用いたもの ②一個当たりの水銀の含有量が10㎎を超えるもので、定格消費電力が40ワット以下のもののうち、ハロリン酸塩を主成分とする蛍光体を用いたもの | 2018年1月1日 |
一般照明用の高圧水銀ランプ ※メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプは規制対象になりません。 | 2020年12月31日 |
2、蛍光灯はどうなるのか
一般家庭やオフィス、店舗などで一番多く使用されているのは「蛍光灯」ですが、水銀が含有しているものでも今回は規制されません。なぜかというと、規制をかける水銀含有量の基準が設けられており、現在市販されている蛍光灯が水銀含有量の基準をクリアしているためです。
そのため今すぐに蛍光灯がなくなるということはありません。しかし今後、蛍光灯の製造が規制されていく可能性はあります。
また注意しないといけないのは、各メーカーが蛍光灯用の器具の製造を2019年3月で中止することです。蛍光灯器具が故障して器具交換が必要になっても、今後は器具が手に入りにくくなります。
その他、規制の対象にならない電球の種類に白熱電球、ハロゲン電球などがあります。
3、早めにLEDに切り替えましょう
現在使用中の水銀灯は製造、輸出入が規制されるだけで2020年以降も使用することは出来ます。しかし電球が切れた場合、購入できるのは国内で流通しているものだけになり、簡単に入手することが難しくなっていきます。
また入手できたとしても水銀灯は外灯などの高所に使用されることが多いため、工事が大掛かりなものになると、ランプ切れなどの不具合が起きてもすぐに工事の手配がつかないということも考えられます。
蛍光灯に関しても、今後縮小の動きになることが予想されます。すでに蛍光灯用器具は製造がされなくなってきていますので、器具の故障が起きる前にLEDへ更新することをおすすめします。
by ESC事業部 テクニカルサポートグループ EM課 高橋
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