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【GXシリーズ②】GX基本方針の一丁目一番地【徹底した省エネ】の具体的な内容は?

エコトピック
脱炭素関連
省エネイメージ

前回の記事では、GXとは何か、またGX基本方針は大まかにどのような内容を含んでいるのか、ということを解説いたしました。

今回は、エネルギーの安定供給及び脱炭素化を進めるための取り組みの一つとしてGX基本方針で挙げられている、【徹底した省エネルギーの推進】について、具体的にどのような施策が行われるのか、解説いたします。

GX基本方針の【省エネ】の位置付けって?

GX基本方針は、「はじめに」という導入部分からスタートし、続いて「基本的な考え方」の記載があり、その後に「今後の対応」が続きます。

この「今後の対応」の最初に記載があるのが、【徹底した省エネルギーの推進、製造業の構造転換(燃料・原料転換)です。つまり、省エネは、GX基本方針の一丁目一番地(ある課題や業務に取り組む際に真っ先に着手すべき最優先課題)です。

※出典:GX実現に向けた基本方針

【徹底した省エネルギーの推進、製造業の構造転換(燃料・原料転換)】には、「企業向け」と「家庭向け」が記載されています。

今こそ【省エネ】が必要な理由は?

「省エネ」という言葉は、1970年代のオイルショック以降、日本でずっと重要視されてきました。なぜ、今もGX基本方針の一丁目一番地として「省エネ」を重要視しているのでしょうか。

GX基本方針には「省エネ」を進める目的として2つ記載されています。

  1. エネルギーの使用量の削減を通した脱炭素社会への貢献
  2. 危機にも強いエネルギー需給体制の構築

上記では少し、イメージしにくいかもしれません。

省エネを重要視する背景には、日本が再供給できるエネの量が現時点でも2030年時点でも、絶対的に不足していることが挙げられます。

※2020年時点で、日本の再エネ率は19.8%であり、再エネのポテンシャルとして最も有力な風力発電を支援しても、2030年までに導入が見込めるのは17.8GW(全体の2.7%)に過ぎません。

※出典:経済産業省 ウェブサイト日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

再エネの供給量が十分にあれば、省エネの必要性は低くなりますが、現時点で供給できる再エネには限度がある状況を踏まえ、今すぐにできる対応として、【省エネ】を重要視していると考えられます。

また、建物建設にしても、設備導入にしても、電気製品の購入にしても、今、購入したものは、5年、10年、長い場合は50年以上使用することになるため、使用期間中の電気使用量を考慮すると、購入時の、1時間単位、1年間単位の小さな差が、5年、10年、50年経過すると、非常に大きな差になることも挙げられます。

※グラフはイメージです。

一度造ってしまったものは、後から省エネに改修しようとしても、限度があり、難しい場合が多いです。途中で買い替えや建て替えをした場合は、まだ使用できるものを廃棄することになり、コスト面でも環境面でも得策とは言えません。

また、「危機にも強いエネルギー需給体制の構築」という部分については、昨今ではロシアによるウクライナ侵攻により、世界屈指のエネルギー大国であるロシアに対する禁輸措置などの制裁が科され、国際的なエネルギー供給に大きな影響が生じています。

例えば、ロシアが世界第2位の生産量を誇る天然ガスの値段は、2021年末から高騰しました。

天然ガスの値段

参照:経済産業省 エネルギー危機の今、改めて考えたい「エネルギー安全保障」

このような状況下で、日本はエネルギー安全保障の面から自国で生産できる再生可能エネルギーに転換するだけでなく、そもそものエネルギー消費を減らす省エネも推進する必要があると言えます

具体的にどのような取り組みが行われるの?

省エネの推進のために、GX基本方針では「企業向け」、「家庭向け」の施策が提示されています

企業の省エネ

企業の省エネ推進に向けて以下のような取り組みが掲げられています。

  • 複数年の投資計画に切れ目なく対応できる省エネ補助金の創生
  • エネルギー診断や運用改善提案を行う省エネ診断事業の拡充による経営者に対する支援の強化
  • 中小企業の省エネの強化
  • 産業用ヒートポンプやコージェネレーションを含めた省エネ設備等の導入の促進

また、大規模需要家に対しては以下のような取り組みが掲げられています。

  • 非化石エネルギー転換に関する中長期計画の提出及び定期報告の義務化
  • 鉄鋼業、化学工場、セメント製造業、製紙業、自動車製造業に対し、国が非化石エネルギー転換の目安を提示
  • 省エネ法の定期報告情報の任意開示の仕組みを導入支援
  • 水素還元製鉄等の革新的技術開発、導入支援
  • 高炉から電炉への生産体制の転換支援
  • アンモニア燃料型ナフサクラッカーなどの炭素循環型生産体制への転換支援
  • 石炭自家発電燃料転換支援

上記の2つ目については産業部門のエネルギー使用量の4割を占める主要5業種ということで、国が目安を提示しています。

産業部門のエネルギー使用主要5業種
非化石転換の導入目標の例

参照:エネルギー需要サイドにおける今後の省エネルギー・非化石転換政策について

エネルギー転換においては、目安の数値を目標として設定することが期待されますが、すでに達成している場合、あるいは達成が極めて困難と客観的に判断できる事情がある場合には、目安と異なる数値を目標として設定することも考えられます。

国は、目安を基準としながら総合的に事業者の取り組みを評価し、非化石エネルギー転換の状況が著しく不十分であると認められた場合、関連する技術の水準や非化石エネルギーの供給の状況等を勘案した上で、勧告や公表を行います

家庭の省エネ

一方で、「家庭部門」については、省エネ効果の高い断熱窓への改修など、住宅省エネ化への支援を強化します。

改正建築物省エネ法によって、2025年度までに全ての新築建築物に省エネ基準の適合が義務化されますが、既存住宅については、およそ9割が省エネ基準を満たしていないような断熱性能であるという現状があります。

既存住宅の断熱性能

参照:経済産業省 エネルギーの安定供給の再構築

それに対して、既存住宅のリフォームを含めて、省エネ推進のために支援をする必要があります。

また、統一窓口を設けワンストップ対応による対応の強化や、ヒートポンプ給湯器や家庭用燃料電池などの省エネ機器の普及の促進も家庭向けの取り組みとして挙げられています。

家庭向け

  • 省エネ効果の高い断熱窓への改修など住宅の省エネ化支援
  • 自治体における省エネ家電などの買い替え支援を後押し
  • 熱の有効利用に向け、ヒートポンプ給湯器や家庭用燃料電池などの促進

最後に

今回はGX基本方針の中の一丁目一番地である【徹底した省エネ】について、位置づけや重要視されている背景について、解説させていただきました。

GXは日本の社会や産業構造の大転換として、多額の予算が組まれており、様々な支援策、取り組みが行われています。経済産業省や環境省の支援事業詳細については下記の記事をご参照ください。

弊社では、省エネ設備や再エネ設備の導入などについて、調査やご提案、実際の工事のお見積りや補助金申請、報告等のサポートをしています。

GX補助金を活用した省エネや再エネ工事をご検討中の方や、上記記事に関連したご相談やご不明な点等がありましたら、下記のフォームからお気軽にご相談ください。

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