2022年10月24日、RE100no技術要件が改定されました。
RE100技術基準って何?SBTとの関係は?
概要
RE100 TECHNICAL CRITERIA(RE100技術基準)は、”RE100キャンペーンのメンバー企業が再生可能エネルギーの電力を調達する際に守るべきルールであり、その内容を定義したもの”です。
また、この技術的基準は、”ほとんどがGHGプロトコル企業基準の市場ベースのスコープ2会計ガイダンスを解釈したもの”です。
出典:RE100 TECHNICAL CRITERIA
目的
RE100技術基準は”2040 年までにカーボンフリーな送電網への移行を加速させる、企業バイヤーのグローバル なリーダーシップイニシアチブとしての使命を維持するため”、としています。
SBTとの関係
RE100のルール改定が、なぜSBTに関係するのでしょうか。
それは、SBTの事務局と、RE100の事務局が、同じCDPであること、また、ともに【GHGプロトコル】という国際的に認められている事業者の温室効果ガス排出量算定基準に準拠していることがあげられます。
SBTはこれまで、RE100のルールに基づいて、再エネの定義をしていました。今回のRE100のルール改定が、何だかの形でSBTに影響する可能性が考えられます。
15年経過した再エネが使えない?!
では、何が改定されたのでしょうか。
一番影響が大きいと思われるのは、「RE100の技術基準では、15年以上前に運転開始または再稼働したプロジェクトからの再生可能エネルギーの追加調達は、15%の閾値を超えて認めない。」という部分です。
つまり、再エネの発電所を設置してから15年経過した再エネは、RE100の再エネとは認められなくなる、ということです。
※再エネ発電施設の運転開始から一番最初に契約した場合(原契約者として締結した固有の長期契約)は15年の制限は対象外
※再エネ割合のうち、15%は免除(既存の再エネも認められる)
RE100改定ルール発行日
今回のルールが適用されるのは2024年1月以降の契約から、ということでした。2023年12月までに契約した再エネ以外は、15年のルールが適応されます。
今後も使える日本の再エネは?
RE100の15年ルールが適応された場合、既存の日本の再エネのうち、どれくらいの割合が、対象から外れるのでしょうか。
2024年1月より15年前の再エネ、つまり2009年時点での再エネは、再エネとは認められないとすると、資源エネルギー庁の上図から、約1,600万kwの再エネ電力が対象外になります。
2009年以降、太陽光発電以外の再エネの割合がほとんど変化していないことを考えると、2024年以降の再エネを進める上で、既存の水力や風力、地熱やバイオマスは、ほとんど対象外になってしまいます。
気候変動を抑制するためには、既存の再エネを取り合うのではなく、再エネ設備の新設をして再エネを増やす必要があります。
現状、再エネの普及率がほとんど伸びていません。今回のRE100ルール改定は、この、停滞する再エネ普及の、強力な推進力になる可能性があります。
対応する側としては、大変ですが。
最後に
RE100に参加できるのは、年間の電力使用量が100GWh以上の世界的大企業です。
今回のルール改定は、気候変動への影響が大きいと言えるそれらの企業が率先して、気候変動を抑制する効果が大きい電力の調達方法を、増やすことです。
こうした影響力のある企業ではない企業も多く参加するSBTでは、現状、公式ウェブサイト上で、RE100のルール改定に伴うSCOPE2の算定方法の変更については、公表されていません。
ただ、前述したように、変更される可能性があります。引き続き動向を見ていきます。
RE100ルール改定ついて、より詳しく確認したい場合は、自然エネルギー財団のワークショップ 「RE100技術要件の改定ポイント」をご確認ください。より詳細な資料や、事前質問編と、当日質問編が公開されています。
国内版RE100とされる【RE Action】では、今回のRE100ルール改定について、RE Actionでも同様のルールにするかは、検討中ということでした。
RE100に対応した再エネ電力を供給する電力小売会社でも、対応について検討していると予測されます。
RE100や、SBTや、CDP、TCFDなど、日々変化が激しく、情報収集や理解が追い付かない部分もありますが、それだけ気候変動の変化も激しく、求められる対応も増えている、ということだと考えています。
これからも重要な変化については、コンテンツでご紹介いたします。
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