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【教えて!】2021年8月に出たIPCC第6次報告書の中身!IPCC第6次報告書の中身【教えて!】2021年8月に出たIPCC第6次報告書の中身!

エコトピック
脱炭素関連
IPCC第6次報告書の中身

2021年8月9日、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」の新たな報告書と政策決定者向けの要約が発表されました。
IPCCは1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織で、人為的な要因で起こる気候変化や影響、適応及び緩和方策に関して、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的としています。

世界の科学者が発表する論文や観測・予測データをもとに、政府の推薦などで選ばれた専門家がまとめたものが報告書として公開されます。

様々なサイトで簡易的な内容が紹介されていますが、企業の脱炭素目標や、シナリオ分析を行う上で、必見の報告書なので、詳細をご一読されることをお勧めいたします。

第6次評価報告書 原文と和訳

第6次報告書の「自然科学的根拠」政策決定者向け要約の、原文と和訳は下記のとおりです。

■原文:https://www.ipcc.ch/report/sixth-assessment-report-working-group-i/
※Full Reportは 3949ページあります。
■和訳:第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)政策決定者向け要約(SPM)の概要
報告書名公表年原文URL和訳URL
第1次報告書1990 https://www.ipcc.ch/report/climate-change-the-ipcc-1990-and-1992-assessments/ ― 
第2次報告書1995 https://www.ipcc.ch/report/ar2/syr/ ― 
第3次報告書2001 https://www.ipcc.ch/report/ar3/syr/統合報告書日本語訳
第4次報告書2007 https://www.ipcc.ch/report/ar4/syr/■政策決定者向け要約
■第2作業部会 技術要約
第5次報告書2014 https://www.ipcc.ch/report/ar5/syr/■「政策決定者向け要約」
■「技術要約」←おススメ‼!
1.5度特別報告書2018 https://www.ipcc.ch/sr15/1.5℃特別報告書 SPM 環境省による仮訳【2019年8月】
気候変動と土地 特別報告書2019 https://www.ipcc.ch/srccl/土地関係特別報告書 SPM 環境省による仮訳【2021年3月】
変化する気候における海洋と雪氷圏 特別報告書2019 https://www.ipcc.ch/srocc/海洋・雪氷圏特別報告書 SPM 環境省による仮訳【2021年3月】

上記の仮訳以外にも、各種概要や要約が環境省HPに紹介されています。

これを見れば分かった気になれる!37分のわかりやすい動画解説!

テレビや様々なセミナー、講演会で気候危機の状況を解説している、国立環境研究所の江守氏が、最新のIPCC報告書を動画で解説したものがYou Tubeで公開されています。

出典:環境省 江守さんの【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」

この動画の中で、特に紹介したい内容を簡単にピックアップします。

地球の平均気温上昇が2度になった場合猛暑(酷暑)は13.9倍になる

3年前までは、気温上昇を2度に抑えることが野心的目標とされ、日本や世界各国の企業が2度に抑えるための削減目標を設定しました。その目標も容易ではないとされる中、2019年後半から1,5度に抑えることが削減目標の世界的スタンダードになっています。

今回のIPCCの報告書では、1.5度に抑えられた場合と、2度の場合の影響をより具体的に提示し、1.5度に抑える必要性を訴求しています。

江守さん動画 暑い日の多さ

最悪の場合、2300年には海面水位が平均15m上昇する可能性がある

江守さん動画 海面上昇15m(平均)

今回2300年の海面水位の予測値が提示されました。最大で15mという、驚くべきものです。

2300年は、当分先のように思えますが、今後さらに研究が進み、予想外の変化も出てくるなどして、予測が早まることは十分に考えられます。

【産業総合科学研究所の海面上昇シュミレーションシステムで15mとした場合の地図】

海面15m 上昇 日本

東京都や神奈川県、埼玉県が・・・千葉県が島に。
北海道や九州もこの機会に見てみてください。

海面上昇シュミレーションシステム

可能性が低くても起こる可能性があるリスクや、複合的に起こるリスクも掲載されている

例えば、下記のようなリスクイメージです。(レポートを参考に推測)

・北極や南極の氷床が溶解し、冷たい海水が深く沈み込むことで発生する海流がなくなる
→ 海洋生物に甚大な影響を与える
→ 同時に海流によって作り出されていた偏西風や季節風の流れが変化する
→ 巨大な熱波(巨大山火事)と豪雨(巨大台風)と洪水が、世界と日本各地で同時多発
→ インフラが破壊され、海産物も農産物も収穫量が激減
→ 各国が輸出規制を発令し、食料不足が起こる
→ そうした中、新たに発見された感染症が世界規模で萬栄
→ 飢餓や生活苦から世界各地で紛争勃発

江守さん動画 可能性は低くても起こりうるリスク

なぜIPCCの報告書が注目されるのか?誰もが納得する、IPCCのレポートの包括性と厳密性と透明性への信用

IPCCのレポートが、どんなふうに作成されているのか、ご存知でない方も多いのではないでしょうか。

世界の優秀な科学者が、気の遠くなるような膨大な時間と労力を使って作成された論文を、研究仲間や同じ専門家の厳しい査読を経て、それらをさらにまとめて一文一文検討した末に完成したレポートです。

全ての査読内容が公開されており、その包括性と厳密性と透明性にまさるレポートは、地球上には存在しないかもしれません。

一人の学者の発言や、一冊の本の批評とは、レベルが違うものであることがわかります。

江守さん動画 IPCC信用根拠

※査読とは、学術雑誌などで、提出された原稿を同分野の専門家により、誤りの有無や掲載の適否について評価、検証し、意見を出すこと

最後に

今や、世界中の政治家や企業、地方都市が、将来への見通しを決めるうえで最も重要とする課題となった気候変動、その現状を知るうえで、IPCCのレポートほど、重要なものはないと言えます。

IPCCのレポートはインターネット普及の恩恵もあり、世界中、誰でも無料で見ることができます

IPCCレポートや江守氏の解説には簡単に比較はできないとありますが、1.5度に達するのが10年早まった、とする見方もあります。これからさらに早まる可能性もあります。

全国的な台風や豪雨の影響で日本各地に被害が出ている中、仕事で見る必要がある方はもちろんですが、自分自身や家族の将来、友人、近隣の方にとっても、重要な情報と言えます。真剣に向き合う時間を作って、未来を想像して考えてみる必要がありそうです。

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