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【エネルギー使用量】ってどうやって把握したらいいの?

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2050年のカーボンニュートラルに向け、地球温暖化対策のためのESG投資やグリーンボンド、TCFDの義務化検討など、日々新たな動きが新聞やニュースで紹介される中、「わが社も何か始めなければいけない」と思い始めた経営者の方々や、関連部署の方も多いのではないでしょうか。
省エネ法に該当している大企業であれば、燃料や電気の使用量は、把握する仕組みもデータもそろっているので、そのデータをもとにCO₂排出量を算定することは、そこまで難しいことではありません。

しかし、そうした規制に該当していない企業や、該当しているかどうかもわからない企業が、日本企業の大半を占めます。そうした企業が、温暖化対策をするうえで、最初に立ちはだかる壁が、使用量の把握です。

エネルギー使用量がわからない理由

全ての企業は、毎年の売上や経費などを決算書でまとめ、法人税や各種手続きをしています。そのため、電気であれ、ガスやガソリンであれ、金額のデータは記録しています。

ただ、電気、ガス、ガソリンなどの使用量は、特に報告義務があるわけでもないので、記録しないことがほとんどです。

使用量の把握が必要だと思っても、過去の各施設の毎月の請求書から確認することは不可能ではないですが、労力と時間を考えたら、避けたい手法ではないでしょうか。

請求書を確認できたとしても、「家賃一式」や「電気代」として金額が記載されているだけで、使用量の記載がない、ということもあります。

どうやって把握すればいいの?

エネルギー使用量はたいていの場合、請求書に記載されています。請求書データをスキャンし保管しておくことが第一ステップと言えます。エネルギーには、電気、ガス、ガソリンなどありますが、ここでは電気についてご紹介します。

まず、電気を使っている施設の一覧を作ります。施設ごとに電気代を把握している一覧があれば、それをもとに、下記の表を参考に必要と思われる項目を追加して、空欄を埋めていくとよいです。

電力の使用量がわからない場合は、電力供給会社に電話すれば、該当する住所の使用量は教えてくれます過去の毎月の請求書を1枚1枚確認するよりは、効率的に把握できます。ウェブで請求書を確認している場合は、ウェブで使用量を確認します。

どんな情報を揃えればいいの?

下記の表は、弊社が揃えてきた情報をもとに、必要なタイミングと必要度合いを整理したものです。後から不足分を揃えるのは二度手間なので、ある程度必要と思われる情報は最初に揃えておくと後々スムーズです。

〇・・・必要
△・・・必要な場合がある
―・・・必要なかった(弊社の場合)

 項目 見積時切替時SCOPE
算定時
切替後
検証時
 電力会社名  〇  〇  〇  〇 
 使用電力量(kwh)  〇  〇  〇  〇 
 使用期間   〇  〇  〇  〇 
 電力会社のメニュー名  ⁻  ⁻  〇  ⁻ 
 契約種別名(低圧、高圧電灯など)  〇  〇  ⁻  〇 
 契約電力(kw)  〇  〇  ⁻  〇 
 供給地点番号  〇  〇  ⁻  ⁻ 
 施設名(需要場所名、住所)  〇  〇  △  〇 
 契約名義 (お客様名)  △  △  ⁻  ⁻ 
 電力会社のCO₂排出係数  ⁻  ⁻  〇  〇 
 燃料調整費  △  △  ⁻  〇 
 再エネ賦課金  ⁻  ⁻  ⁻  〇 
 基本料金  ⁻  ⁻  ⁻  〇 
 電力量料金  ⁻  ⁻  ⁻  〇 
 高圧電気設備の点検技術者の名前と連絡先  ⁻  〇  ⁻  ― 
 契約更新申請期限  〇  〇  ⁻  〇 

契約期間中に解約する場合も想定される場合は、【中途解約金の要件】などを、追加、もしくはコメントやメモで残しておくと、確認がスムーズです。

記録しておきたい項目は沢山ありますが、使用量もわかっていないのに、そんなに沢山の項目を揃えるのは、気が遠くなります。各施設の請求書のスキャンを見るだけで済む項目もあるので、必要に応じて情報を揃えてください。

その他、弊社が実際に算定した際に行った方法や、気づいたことを下記の記事にもまとめてあるので、ご参照下さい。
【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】何から始めればいいの?

テナントビルで、請求書に使用量記載がない場合は?

弊社の場合、下記のパターンで使用量を把握しました。

①オーナー様に使用量を確認 → 「電気に関しては設備屋さんにお願いしているので詳しくわからない」 → 「設備屋さんの連絡先を教えてもらい、連絡」 → 「使用量(メーター数)を教えてもらう」

②供給会社から使用量を記載したメールが経理担当者に届いていたが、これまで使う機会がなく、忘れ去られ、未読メールに埋もれていた →データに記録してもらうようにした

上記以外で、どうしても使用量がわからない場合は、建物の受電容量と、フロア数、専有面積から、使用量を割り出す、という方法があります。(弊社の場合、この方法を使わずに把握できました)

ガス、ガソリン、その他のエネルギーについて

その他のエネルギーの使用量についても、基本的には電気と同様、供給会社に確認していく形になります。

SBTやCDP、TCFD対策としてSCOPEの算定をする場合に必要な情報は、省エネ法や温対法の把握項目と異なりますが、基本的に燃料の種類と使用量は共通して必要です。

◆省エネ法の場合
 下記のシートに使用量を入力すれば原油換算値が出てくるツールが公開されています。

省エネ法原油換算エクセルシート

出典:経産省 エネルギー庁 省エネポータルサイト 原油換算ツール

◆SCOPE算定の場合

SCOPE算定では、ガスは、都市ガスかLPGかで排出原単位が異なるので、記録する際は集計時に区別できる形にします。
※SCOPEを算定する場合、エネルギーの使用量確認と同時に、水道の使用量もSCOPE3で必要になるため、合わせて確認するとよいです。

ガソリンについては、レギュラーガソリンと軽油で、排出原単位が異なるので、集計時に区別できるようにします。SCOPE3のカテゴリー1で、経費から重複を避けるために差し引く可能性も高いので、金額も合わせて記録することをお勧めします。

参考:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

  • 給油カードを使っている場合
    請求データをデータで送ってくれる会社、CSVなどでダウンロードできる会社、紙ベースのみの会社、様々あります。紙の場合はデータにする手間が発生します。
  • 社員の経費精算の場合
    使用量を把握するのは難しいので、弊社のSCOPE1算定の際は、平均単価から使用量を出して、その使用量と排出原単位を使って算定しました。

~失敗例~

◆「使用量だけ把握できていればいい」ではなかった。
使用量を確認していた時は、電力会社ごとに排出係数が違うことを認識していなかったため、集計年度の途中から新電力に切り替えていた施設があったことを、確認していませんでした。→ 電力会社を分けて、集計とCO₂算定のやり直し

同じ電力供給会社でも、契約メニューが変わる場合の対応を想定できていなかった。

→ 電気使用量データは経理部署に入力のお願いをしているのですが、電力メニューごとに排出係数が違うことを伝えきれていなかったので、電力メニュー変更後も同じ電力会社として、同じ行で集計されていました。これについては事前に気づくことができたので、別の行を作り、別で集計してもらいました。

今後も契約変更があった際は、別枠に記録してもらうよう、担当部署に伝えました。集計時もそうした契約変更がなかったか、確認が必要だと学びました。

省エネ法、引っ掛かってませんか?

これまで把握していなかったエネルギー使用量がわかったら、確認しなければいけないことがあります。それは、「省エネ法」の対象事業者かどうかです。省エネ法は、主に年間のエネルギー使用量が原油換算で1500KL以上あると該当企業となります。

この原油換算について、1500KLを超えている、もしくは超える可能性がある、不安がある場合は、原油換算で本当に超えているか、弊社にて確認させていただきますので、お気軽にお問い合わせください

エネルギー使用量からCO₂排出量を算定する方法

1年分の会社全体のエネルギー使用量と、各電力メニュー(排出係数)が把握できたら、CO₂排出量を算定できます。【電力使用量】×【排出係数】で出すことができます。

詳しいSCOPE1,2の算定については下記をご覧ください。

【SBT目標 SCOPE1,2算定に挑戦!】SCOPE1,2の計算方法!

CO₂算定 クラウドサービスのご紹介

エネルギー使用量の把握や、CO₂排出量の算定に頭を抱える企業のために、CO₂算定ソフトやクラウドサービスが登場してきています。弊社も使ったことはないのですが、下記の2社はともに12月頃リリース予定とのことです。

アスゼロ

https://earthene.com/asuzero

zeroboard

https://zeroboard.jp/

こうしたサービスの利用で集計の手間や時間は減ると考えられます。ただ、全体を把握し、一つ一つ元データを集め、揃えていく仕組みを社内に作る必要はありそうです。

最後に

エネルギー使用量の把握は、一通りそろえ、データが集まる社内の仕組みができるまでは、地道な確認の積み重ねとなります。ただ、それをするから、それぞれの状況を把握することができ、削減の道筋がイメージしやすくなると感じます。

沢山の人の協力を必要とすればするほど、エネルギー使用量の削減ができたとき、自分事と捉えることができるので、影響を与えることができます。

長期的な視点で見れば、社内の意識が変わり、雰囲気が変わっていくことの方が、CO₂削減効果より、大きな成果と言えるかもしれません。
とにかくやってみる、始めてみてください。わからないことがあれば、お気軽にお問合せください。

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