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PPPとPFI -民間企業の力で効率的な公共サービスの展開-

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地方自治体の財政が厳しさを増し、さらに人手不足も指摘されるなか、行政と民間が連携し、公共事業に民間の力を活用するための、PPP/PFIの導入に関心が高まっています。

「経費削減」という行政の視点が注目されがちですが、これまで行政の閉じた枠組みの中で実施されていた事業が解放されるという点では、民間にとっては大きなビジネスチャンスでもあります。効率的で効果的な公共サービスの実現という点では、社会貢献度の高い事業であるとも言えます。

本記事ではPPP/PFIについて、基本的な部分からご紹介いたします。

PPP? PFI? 何が違う? 

PPPはPulic Private Partnership(政府と民間の協力)の頭文字を取った言葉で、「官民連携」と訳されます。公共施設の建設や維持管理を行政と民間が連携して実施することで、公共サービスへの民間の活力の導入を目指します。

 官民連携の文脈では、PFIという用語もよく用いられます。PFI(Private Finance Initiative)は直訳すれば「民間資金主導」であり、民間の資金とノウハウを活用して公共サービスを提供する、PPPの手法の一つです。

 従来のように行政が直接公共サービスを提供するのではなく、行政が民間企業に料金をはらって公共サービスを発注する立場になるということです。

 効率が良く、透明性も高い公共サービスの整備手法として評価されており、行政の財政事情が厳しさを増す中、注目を集めています。実際に、国も税制の特例措置の制定やPPP事業の調査費用の援助など、PPP/PFIの推進に力を入れています。

 2011年のPFI法改正により、PFIの対象は拡大しました。2011年以前はPFIを使った事業は公共施設の建設が中心でしたが、改正により公共サービスの運営にも民間が関わることができるようになったのです。また、民間事業者がPFI事業を計画し、行政に提案することもできるようになりました。

 国の成長戦略として、2013年から2022年までの10年間で21兆円の事業規模の達成が目指されており、実施事業は毎年増加しています。公共サービスの効率的な提供と経済活性化のために、PPP/PFIは推進されているのです。

出典:内閣府ホームページ(PFI事業実施状況

PPPやPFIのメリット

公共サービスを運営する事業会社が初期費用から維持管理費用まで、一元的にコスト管理をすることで、無駄の少ない効率的な運営が可能になります。

また、民間のノウハウの活用や創意工夫によって、既存の運営方法の改善や、新規の収益事業の創出など、より効率的な運営が期待されます。民間事業者としても、これまで民間に開かれていなかった新たな事業機会を得ることができます。

PPP/PFIの事例の紹介

 空港や水道の運営から小中学校の空調設備の更新、公園や文化施設の整備など、さまざまな分野でPPP/PFIを通じて民間の力が公共サービスに導入されてきています。【脱炭素化で注目されるPPP官民連携事業 -北陸グリーンボンド-】 では、近年関心が高まっている、脱炭素社会の実現という面からも注目される革新的な官民連携(PPP)事業を紹介しています。

おわりに

元来、公共事業は民間にゆだねるだけでは立ち行かない可能性のある事業を行政が担ってきたものです。それを民間企業に任せるPPP/PFI事業には、過度な利益追求により、サービスの質が低下してしまうリスクが存在します。

逆に言えば、公共サービスの効率化と十分なサービスの質を両立させるためには、高い企業倫理が求められるのではないでしょうか。

各々の民間企業が、それぞれの強みを活かしてPPP/PFI事業に参画し、より良い公共サービスを実現できるよう、引き続き関心をもって見ていく必要がありそうです。

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