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アルコール除菌に代わる「次亜塩素酸水」を解説

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次亜塩素酸

新型コロナウイルスの影響でアルコール消毒液が品薄になり、徐々に注目されてきている「次亜塩素酸水」ですが、正しく理解して使用しないとかえって危険という記事を見かけます。そこで『次亜塩素酸』を活用した除菌水について、簡単にですが解説していきます。

1、『次亜塩素酸』を使った除菌水は主に3種類ある

『次亜塩素酸(HClO)』は強い酸化力があります。次亜塩素酸はとても不安定な物質で、すぐに何か別の物質とくっついて、反応して変態して安定化しようとします。

細菌やウイルスなど有機物はその格好の対象となり、次亜塩素酸はすぐに反応しようとします。細菌やウイルスは次亜塩素酸にくっつかれて、結果的に破壊されてしまいます。

この現象を酸化といい、これが『次亜塩素酸』が除菌や殺菌で使用される理由となります。

次亜塩素酸の酸化力を除菌殺菌に活用しているものは、主に3種類あります。

①次亜塩素酸水(酸性電解水)
②次亜塩素酸ナトリウム
③次亜塩素酸ナトリウムをpHを調整したもの

それぞれの概要と特徴を解説していきます。

2、「次亜塩素酸水」

酸性

『次亜塩素酸』はとても不安定なため、作った瞬間からどんどん反応して次亜塩素酸ではなくなっていってしまいます。そこで、水に溶かすことで少し安定化させることができたのが「次亜塩素酸水」です。

「次亜塩素酸水」は酸性電解水とも言われ、電気分解で作られた酸性~弱酸性の水溶液です。酸性サイドにあることから『次亜塩素酸』の含有比率が高く、強い殺菌力を示します。

ほとんどの細菌に対する除菌効果があり、ウイルスに対しても抑制力を持っていることが既に証明されています。

一方で、「次亜塩素酸水」は人体への影響がないとされており、その理由は2つあります。

①「次亜塩素酸水」の有効塩素濃度はとても薄い

 「次亜塩素酸水」の有効塩素濃度は10~80ppmとなっています。
 仮に50ppmの場合、20Lの水に対して1g(=指先で1つまみ)程度の濃度です。

②有機物に触れるとすぐにくっついて、塩酸と水に分解される

 塩酸も濃度が高ければ有害ですが、元々が薄い水溶液なので、人体への影響は問題ありません。また乾燥してもあとが残ったりすることもありません。

「次亜塩素酸水」の殺菌力と安全性は国も認めており、食品添加物殺菌料として承認されています。
国も注目しており、新型コロナウイルスに対する有効性の検証を優先的に進めています。

「次亜塩素酸水」は保存できる期間が非常に短いため、生成装置が流通しており、「次亜塩素酸水」自体はあまり流通してきませんでした。
最近では家庭用の生成装置も販売されるようになり、手に入れやすくなりました。(Panasonic ジアイーノ)

3、「次亜塩素酸ナトリウム」

市販の殺菌除菌イメージ

「次亜塩素酸水」をもっと安定化させるため、「次亜塩素酸水」に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を加えたものが、「次亜塩素酸ナトリウム」です。

たいていの細菌に対する除菌効果、ウイルスに対する抑制力を残したまま、長期保存できるようになりました。様々な製造方法により安価かつ大量に製造でき、塩素系漂白剤として、ボトルに入れて市販されています。

「次亜塩素酸ナトリウム」は食品添加物殺菌料として承認されています。

今回の新型コロナウイルスにも有効性が確認されており、厚生労働省の資料にも「次亜塩素酸ナトリウム」の有効性と使い方が説明されています。

厚生労働省 啓発資料 身のまわりを清潔にしましょう

この資料の中にもある通り、市販されている商品として、花王のキッチンハイター、カネヨ石鹸のカネヨブリーチ、ミツエイのブリーチなどが挙げられています。

「次亜塩素酸ナトリウム」は強アルカリ性のため、人体への有害性があります。

皮膚などのたんぱく質を溶かしてしまったり、目に入ったりすると失明する可能性もあると書かれていることもあります。

薄めてもこういった特性はあまり変わらないので使用には注意が必要です。手指の消毒に使用することができず、物品の消毒剤として使用する際にも手袋を着用するように指導されています。

4、「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」

検証 イメージ

「次亜塩素酸ナトリウム」の取り扱い注意の部分(危険な部分)をなくすために開発されたものが、「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」です。「次亜塩素酸ナトリウム」に、酸性の塩酸等を加えて、pH値を弱酸性~中性に調整しています。

本来「次亜塩素酸ナトリウム」に酸を混ぜると塩素ガスが発生するため、いわゆる「混ぜるな危険」と言われていますが、特殊な生成装置で微妙な混合比率を調整し、安全に生成されています。

pH値を調整した結果、「次亜塩素酸水」と同じような性状になり、高い除菌力(次亜塩素酸ナトリウムの80倍と言われています)と人体への安全性(弱酸性)を持っています。

それに加え、正しく保存すれば2~3か月は保存できるため、「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」の水溶液が流通されるようになりました。設備を導入せず手に入れることができるため、小規模の施設や事務所、家庭で使用されるようになってきました。

ただし、「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」は食品添加物殺菌料として認められていません。食品衛生法においては、食材や食品加工の機器などに使ってもいいという法的根拠がないということになります。

「次亜塩素酸水」「次亜塩素酸ナトリウム」については食品添加物に定義されおり、生成方法なども含めて一定のルールがありますが、「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」は食品添加物に定義されていないため、製品としての定義もなく、色々な名称・生成方法・用途で扱われています。

当社の『爽快除菌水』はこの「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」となります。次亜塩素酸ナトリウムに希塩酸を混ぜてpH調整しています。

■ エコ・プランの商品 「次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの」

【爽快除菌水】についてはこちらをご覧ください。

 ウイルス対策に!【爽快除菌水】

最後に まとめ

『次亜塩素酸』を使った3種類の除菌水について、まとめると以下のようになります。


次亜塩素酸水次亜塩素酸ナトリウム次亜塩素酸ナトリウムをpH調整したもの
pH値酸性~弱酸性酸性~弱酸性弱酸性~中性
除菌力
保存性×
安全性
使いやすさ
食品添加物承認ありありなし
価格
流通量
新型コロナについて国の対応有効性を検証中有効性は確認されている検証なし

分かりやすく説明するために、だいぶ簡略化してご説明していますので、お取り扱いについては、各商品の説明書を良く読んで正しい方法でのご活用するようにしてください。

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