日本は2050年までに温室効果ガスを80%削減することを目標としています。そのためには建物から排出されるCO₂を削減する必要があります。
目次
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは高性能建材や高性能設備を導入し、建築物の年間一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる建築物です。
エネルギー消費量を省エネによって減らし、創エネ(再生可能エネルギーによる発電設備)によって使う分のエネルギーをつくることで正味ゼロの建築物を考えていきます。
■一次エネルギー消費量とは
石油、天然ガス、石炭、水力・太陽光など、自然から得られるエネルギーのことです。
建物が実際に消費する一次エネルギー量を計算する際は、空調や冷暖房設備や、給湯設備などの機器類が消費するエネルギーを合算して算出します。
この「設計一次エネルギー消費量」が、省エネ基準が求める「基準一次エネルギー消費量」を下回れば建築物省エネ法を満たしているとされます。
引用:国土交通省
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要
ZEBの取組は国のエネルギー基本計画(2014年4月)でも取り上げられており、目標としては 2020年までに新築公共建築物で、2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指しております。こちらを踏まえて2025年度に自社が受注するコンサルティング業務について、ZEBの占める割合が50%となる事を目標としています。
ZEBには段階ごとに以下のような定義があります。
引用:令和5年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業 パンフレット (sii.or.jp)
『ZEB』、Nearly ZEBを達成するためには創エネ設備を採用することが必要となります。
ZEB Orientedは新築用途に限り、削減率に加え更なる省エネルギーの実施に向けた措置を講じることが条件となります。
『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
年間一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
『ZEB』に限りなく近い建築物として、ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物
ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)
『ZEB』を見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物
ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)
ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物。
ZEB Orientedについて
2019年度から新たに加わった定義で、従来の定義とは少々異なる要素があります。
① 未評価技術9種の内、一つを導入すること
エネルギーの削減率は、WEBPROと呼ばれる計算ツールを使用して計算されます。「未評価技術」とは、この計算ツールで算出されない工事手法のことを指しています。
一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下、SII)で定められている今年度の未評価技術に関しては9つの手法があります。
② 新築建築物の案件に限ること。
ZEB Orientedでは、新築工事の建築物に限り対象となります。
③ 建物用途によって削減率が異なること
建物用途により、削減しなければいけないエネルギーの割合が変わります。
建物用途は対象になる建築物の竣工図に記載されています。実際の仕様用途では集会所でも、竣工図としては事務所として書類を提出している可能性もありますので、確認が必要です。
■竣工図とは
建物を建設する際、設計図通りにはいかず、変更が発生する。その変更も含めて最終的に出来上がった内容を記録したものが竣工図。
※引用:平成30年度ZEB ロードマップフォローアップ委員会 とりまとめ(案)
ZEB実現に向けて
ZEBを実現させるためには、ただ高効率の機器を導入すればいいかと言われるとそうではなく、まず建物の基準となるエネルギーを計算していく必要があります。
建築物省エネ法で省エネ基準が満たされているかの評価法としてBEI(Building Energy Index)と呼ばれる指標があります。
このBEIは建築物に導入されている設備(空調・換気・照明・給湯・昇降機)の一次エネルギー消費量と外皮性能で計算されます。
BEIは、実際に建てる建物の設計一次エネルギー消費量を、地域や建物用途、室使用条件などにより定められている基準一次エネルギー消費量で除した値で評価し、新築される住宅・建築物の一次エネルギー消費量基準に適合となる水準は、BEI≦1.0となります。
つまり新築される建築物においては、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量以下であれば省エネ基準に適合しているということになります。 (引用 環境省 ZEB PORTAL )
必要最低限の設備導入、設備の仕様を極端に抑えるような省エネ活動では快適性を大きく損なってしまいます。
普段の工事と違い、専門的な分野が絡んできて話を聞いているだけでも難しそうですね…
そんなZEB化をサポートしていくのが「ZEBプランナー」です。
ZEBプランナーとは
SIIが設けた制度で、ZEB実現に向けた業務支援を行ない、その活動を公表する会社です。
省エネ法に基づいた建築施工の経験をもつ会社が登録されています。要するに省エネ化工事をプランニングするエキスパートです。弊社もZEBプランナーに登録されております。
引用:SII HPより
また、例年のZEB実証事業では案件に関してZEBプランナーの関与が必要となります。
弊社はZEBプランナーでもあり、設備工事が出来る会社でもあります。
■関連トピック:ZEB 最前線!実証事業 調査発表会2018に参加
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