(公開日)

CDPの自己採点ってどうやるの?採点方法を分かりやすく解説!【CDP自己採点②】

エコトピック
脱炭素関連

前回の記事では、CDPの「A」から「D-」までのスコアづけの仕組みを紐解くことで、各スコアの解釈についてご紹介しました。

今回は実践編として、実際にCDPの自己採点ができるように、採点方法をご紹介します。

なお、今回は、分かりやすさのために簡潔にご紹介します。詳細について知りたい方はCDPのホームページより、採点方法については「コーポレート完全版質問書 スコアリングイントロダクション(日本語版)」、質問書や質問ごとの採点方法については「コーポレート完全版質問書 スコアリング基準-気候変動(英語版)」をご覧ください。

実際に採点してみよう!

それでは、実際に採点してみましょう。

まずは、点数をまとめるためにExcelで簡単な表を作ります

今回は下の写真のように、質問番号と、4つの採点基準の「得点」「配点」を入れる列を作りました。

これら9つの項目を、採点しながら入力していきます。

質問番号の列には、あとで見た時に分かりやすいように質問番号を入れます。質問番号は上のExcelのように、(大問番号).(小問番号).(ある場合は分岐番号)という形で書かれています。

得点欄には、自己採点で獲得した得点を入れていきます。マイナスにはなりませんし、配点を超えることもありません。

配点の欄はスコアリング基準を見るか、分からない場合は各質問のスコアリング基準の下にあるポイント配分の表を見て埋めます。同じ質問でも回答する内容によって配点が異なることがありますので、注意して採点基準を見ましょう。

このExcelは、次回の記事でご紹介する「得点率」や「ランク」の出し方の際に使用します。

採点のパターン

採点基準には質問ごとに様々な採点方法が書かれており、どのように点数をつければよいのか解釈に悩むこともあるかもしれません。

弊社では、採点のパターンを独自に4つの型に分類しました。

①基本型

「いずれかの選択肢が選択されている」「○○が選択されている」など、特定もしくは任意の選択肢を選んでいると得点が入るものです。「採点」と言われたらまず思い浮かぶものでしょう。

基本型の例

質問1.4 マネジメント項目)
『マネジメントポイントを獲得するには、認識ポイントが満点付与されている必要があります。終了日が2023年10月2日から2024年10月2日までの間にある – 1ポイント』(採点基準より)

(解説)今回報告するデータの終了日を問う質問。特定の期間内であれば得点が入る簡単な基準です。ただし、マネジメント項目の得点を得るには、その前の認識項目で満点を取る必要があります。このように、ひとつ下の採点項目で満点を取らなければ得点が与えられないものは非常に多いです。

質問7.3 開示項目)
i) [スコープ2、ロケーション基準]列でいずれかの選択肢が選択されている – 1ポイント
ii) [スコープ2、マーケット基準]列でいずれかの選択肢が選択されている – 1ポイント (採点基準より)

(解説)i)とii)、それぞれ1点ずつ入ります。この質問に限らず、ギリシャ数字で書かれているものは重複して得点することができます。

②「セルの数に比例して」型

表示されたセルの数に比例して、記入したセルごとにポイントが付与されます」等と書かれているタイプです。

この採点方法の質問では、回答は表を埋める形で行います。回答すべき項目(セル)のうち、回答した項目の割合だけ点数が入るものです。

例えば、5点満点の質問で、回答すべき項目が8つあり、そのうち半分の4つに回答した場合、5点のうち半分(2.5点)を得られます。6つ回答した場合は、8つ中6つ回答したので、5点×6/8で3.75点を得られます。

※この型は非常に解釈が難しく、こちらが正しいとは限りません。公式の説明は、スコアリングイントロダクションの12ページ「比例配分を用いたスコアリング」をご覧ください。

「セルの数に比例して」型の例

このタイプには、3つの文章が当てはまります。

例1)『表示されたセルの数に比例して、記入したセルごとにポイントが付与されます』

例2)『開示した行の数と、記入したセルの数に比例して、ポイントが付与されます』

例3)『回答した行の数に比例して、記入した行ごとにポイントが付与されます』

それぞれの違いについて、下の例で説明します。

質問○.△△質問1質問2質問3質問4
行1○○○○○○
2○○○○○○○○
3○○○○
4○○回答しない
配点:6点

例1から3は、いずれも情報を記入した数に応じて得点が入るものです。上の図の○○は、情報が入力されている欄です。

質問によっては、上の図のように複数の行にわたって回答したり、行4のように一部のセルだけ回答できない場合もあります。この質問を6点満点として、例1から例3、それぞれの場合の計算方法を解説します。

例1では、答えなければいけないセルのうち、回答したセルの割合を計算し採点します。

行1から行4まで合計15個回答しなければならず、うち10個回答したので、6点×10/15=4点を獲得できます。

ただし、採点基準に「1行のみ採点」と書かれている場合は、最も高得点となる行2のみを見て採点します(その場合は6点獲得します)。

例2では、行ごとに別々に採点を行います。

回答するべき行数は4行あるので、6点÷4行=各行1.5点満点として、行ごとに例1のように計算します。

行1は1.5点×3/4=1.125点。同様に行2は1.5点、行3は0.75点。行4は回答すべきセルは3つ、回答したのは1つなので、1.5点×1/3=0.5点となります。

4行を合計して、1.125+1.5+0.75+0.5=3.875点となります。

例3は、全て埋めた行数ぶんだけ得点が入ります。

この場合、4行回答しなければならず、うち1行(行2)のみ全て埋めた状態なので、6点×1/4=1.5点を獲得します。

③ルート分岐型

ルートA)ルートB)と書かれているパターンです。ルートごとに条件が異なり、当てはまる条件のルートを1つのみ選択し採点するものです。

同じ質問でも、ルートによって配点や得点は大きく異なる場合があります。またルート分岐の条件もかなり細かく決まっていることが多いので、採点基準をよく確認して採点しましょう。

ルートにより獲得できる得点が異なる例(質問4.1.1 認識項目)

選んだ選択肢に応じてルートAとBに分岐。ルートAでは1点(1点満点)獲得/ルートBでは0.5点(1点満点)獲得

(解説)取締役会が環境問題の監督をしているかという質問。ルートAは「はい」、ルートBは「今後2年以内に行う」と回答した場合です。より環境問題に消極的な選択肢を選んだルートBでは、満点はもらえないようになっています。記載はありませんが、「いいえ」を選んだ場合は当然0点(1点満点)です。

ルートにより配点と得点が異なる例(質問7.3 認識項目)

選んだ選択肢に応じてルートA~Eに分岐。ルートA、ルートBでは最大2点(2点満点)獲得/ルートC~Eでは最大1点(8点満点)獲得

(解説)SCOPE2の二酸化炭素排出量に関する質問。ルートC~Eは、報告できない地理的な理由がないのに排出量を報告しない場合のルートです。この3つのルートは8点満点中1点と、大きく失点します。ひとつめの例よりも下のルートを選択した際の失点が大きいため、この質問が重視されていると推測できます。

④非開示ルート型

③ルート分岐型の発展形で、ルートA、ルートBなどの他に非開示ルートに分かれているパターンです。

回答した場合には小量の点数が入り、回答しなかった場合は非常に大きな失点になります。このタイプは、特に重要なデータを開示させる質問に設定されます。情報を開示するのが当然、と捉えることができます。

この型で注意すべき点は、回答漏れの場合に大量失点してしまうことです。下の例のように、はいかいいえで答える簡単なものでも、回答していないと6点失点してしまうことになります。回答漏れがないか、しっかりチェックすることが大切です。

非開示ルートの例(質問7.4 開示項目)

ルートA) いずれかの選択肢が選択されている 1点(1点満点)
非開示ルート) いずれの選択肢も選択されていない  0点(6点満点)

最後に

今回は、CDPの採点方法について解説しました。

CDPの採点基準は全て公表されており、誰でも自己採点することができます。

また、前回の記事でご紹介したように、CDPの自己採点を行うことで、公式のレポートのみでは分からない自社の環境課題や今後の道筋も見えてきます。

CDPをただ回答するだけではもったいないです。CDPの自己採点を通して、自社の環境対策を見直してみませんか?

Share