ここ数年、ノンフロンや自然冷媒といった環境にやさしい冷媒をよく耳にするようになってきました。冷凍空調機器は、各機器に封入する冷媒が指定されています。指定された冷媒と異なる冷媒を冷凍空調機器に封入すると、機械的不具合・誤作動・故障の原因となり、場合によっては安全性確保に重大な障害をもたらす恐れがあります。
火災や爆発の恐れ
ノンフロン自然冷媒と称していながら、プロパンなどハイドロカーボン(HC)系を成分とした冷媒があります。これらは強い燃焼性があり、火災や爆発など重大災害に至る恐れがあり大変危険です。実際に海外では、冷媒を入れ替えたことに起因した爆発や火災の事故が発生しています。
事例1:アメリカ 事例2:ニュージーランド
事例3:インドネシア 事例4:中国
出典:一般社団法人日本冷凍空調工業会
故障や不具合の恐れ
現在の冷凍空調機は、冷媒の圧力や温度を検知しながら細かい動作を繰り返して、かつてない省エネ性を発揮しています。ところが入替えた冷媒の圧力や温度が指定冷媒と異なると、機械本体が正常に動作することが出来なくなり、冷房や暖房の効きが悪くなる事があります。その状況で運転を続ければ、部品の故障にもつながってしまいます。
メーカーや多くの修理業者は修理してくれない
指定された冷媒以外の冷媒を使用しているエアコンに対しては、故障などの修理が発生しても、メーカーは対応してくれません。また修理業者も対応できないことが多く、弊社としても冷媒の種類や特性が把握できないと修理することは難しいのが現状です。
最後に
いくら省エネで地球環境への負荷が少ないとしても、火災や爆発の危険があったり、エアコンに負荷がかかって「冷えない」「温まらない」となったり、壊れても修理できなくなったりすることを考えると、やはり指定された冷媒を使っていくことが一番だと考えます。
by ESC事業部 テクニカルサポートグループ CS1課 堀田