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【GXシリーズ⑤】グリーントランスフォーメーションに20兆円の投資支援!「GX経済移行債」について簡単に解説します!

エコトピック
脱炭素関連
環境とお金

今回は、GX基本方針についてご紹介するシリーズの第5回です。これまでの記事では、GX基本方針の中の一つ目の内容である「エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取り組み」について解説いたしました。

今回は、GX基本方針のもう一つの柱である「成長志向型カーボンプライシング構想の実現・実行」の中で、GX経済移行債について解説いたします。

150兆円のGX投資にむけて

政府は2023年、今後10年間で官民合わせて150兆円超のGX投資を実現することを表明しました。

その実現に向け、カーボンプライシングや国債を利用したGXへの投資の促進が必要になります。

※カーボンプライシングは、排出する炭素量に応じて価格付けをする手法です。
詳しくは以下の記事で解説しています。
脱炭素に不可欠?~カーボンプライシング導入に向けた動きと、企業との関係とは

これを受けて、GX基本方針では今後行う取り組みとして、大まかに以下の3つを挙げています。

  1. GX経済移行債を活用した先行投資支援
    政府は、新たにGX経済移行債を発行し、産業競争力強化・経済成長と排出削減の両立に貢献する分野への投資を促進する予定です。
  2. 成長志向型カーボンプライシングによるGX投資インセンティブ
    成長志向型カーボンプライシングによって、炭素排出の価格を段階的に引き上げ、GX関連製品や事業の価値を向上させます。
    これにより、GXに先行して取り組む事業者が優遇される仕組みを創設します。
  3. 新たな金融手法の活用
    GX投資を加速するために、GX技術のリスク補完策(債務保証等)の実施が検討されます。
    これにより、GXという新しく、比較的リスクの高い事業を企業が行いやすくする狙いです。

今回は、この中の1.GX経済移行債を活用した先行投資支援について、詳しく説明いたします。

GX経済移行債って何?

GX経済移行債は、150兆円のGX投資を実現するために、20兆円規模で行われる国の先行投資支援です。国債として発行したうえで、カーボンプライシングによって得た財源で2050年までに返還します。

炭素排出に価格を付けるカーボンプライシングは、徐々にその価格が上がっていく予定です。その前にGX経済移行債で先行投資をし、企業にGX投資を早めに取り組ませることを、政府は意図しています。

これが先ほどの2.成長志向型カーボンプライシングによるGX投資インセンティブにあたります。

GX経済移行債は、カーボンプライシング導入に向けて、民間では投資をためらうような案件で「産業競争力強化・経済成長」と「排出削減」の両立に貢献する分野への投資を促進することを目的としています。従来のような、エネルギー消費量の抑制や温室効果ガス排出量削減のみではありません。

具体的には、

・再生可能エネルギーや原子力等の非化石エネルギーへの転換
・鉄鋼・化学など製造業をはじめとする産業の省エネの推進
・資源循環・炭素固定技術などの研究開発

などへの投資が対象となる予定です。

GX経済移行債の支援対象となる事業

排出量削減と経済成長

GX経済移行債を利用した投資支援の対象の選定においては、

・経済成長と排出削減の両立
・国内の事業である
・市場規模・削減規模
・技術・事業革新性


等、さまざまな点が考慮され、支援の優先順位がつけられます。

詳しい選定条件については、以下をご参照ください。

投資支援の対象の選定条件

まず、選定の対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

・使う技術や事業の性質により、民間企業のみでは投資が困難なもの
競争力強化・経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献するもの
・企業投資や需要側の行動を変えていく規制・措置と一体的に整備すること
・国内での排出削減に寄与し、更なる投資を呼び込める(資金が循環する)もの

この原則に加えて、以下のA~C、1~3からひとつずつを満たす事業を支援対象候補として、優先順位づけされます。

【産業競争力強化・経済成長】
A. 技術革新性または事業革新性がある
B. 燃料・エネルギーの削減収益性向上の両方が実現される
C. 全国規模の市場が想定される主要物品の導入初期

【排出削減】
1. 将来の国内の削減に貢献する研究開発投資
2. 直接的に国内の排出削減に貢献する設備投資
3. 全国規模で需要があり、高い削減効果が長期に及ぶ主要物品の導入初期

最後に

今回の記事では、GX経済移行債について解説いたしました。

GX経済移行債は、排出量削減と経済成長の同時実現に重きをおいています。

これからの時代は、環境負荷削減のための消極的な脱炭素ではなく、環境ビジネスという成長市場での競争力強化という面での積極的な脱炭素が求められるのかもしれません。

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