入れ替えた後の撤去された業務用エアコンは、廃棄後、どのように処理されているのでしょうか。
弊社が撤去した業務用エアコンをはじめ、修理やその他の事業で発生する産業廃棄物の行方の一部を追ってみました。
目次
業務用エアコン 廃棄物の流れ
業務用エアコンは更新工事(入替工事)で、機器内に含まれているフロンを回収してから、撤去され、産業廃棄物となります。
※回収したフロンは、フロン排出抑制法に則って再生破壊業者に処理を依頼しています。
産業廃棄物は、都道府県の認可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に回収を依頼します。
産業廃棄物収集運搬業者のコンテナに積み込まれた業務用エアコンなどの産業廃棄物は、中間処理業者に運ばれます。
中間処理業者では、分別、圧縮、破砕、粉砕などをして、リサイクルできるものと、できないものに分けられます。
原料としてリサイクルできるものは、有価で引き取り業者に買い取ってもらい、別の製品に生まれ変わります。
リサイクルできないものは、燃やされて、熱を発電や廃熱で利用されるか、埋め立てられます。
業務用エアコン 撤去時の 収集運搬の一例
業務用エアコンは、フロン回収後、撤去し、産業廃棄物収集運搬業者のコンテナに積み込みます。
産業廃棄物収集運搬業者の担当の方が、「中身、何ですか?」と確認し、「主に、金属です」「主に、紙屑です」と回答し、詰め込む位置を指示されるので、そこに積み込んでいきます。
積み込んだ後、産業廃棄物収集運搬業者の事務所で、トラック全体の重さを計測します。
中間処理業者の分類ごとの処理する場所で、積み荷を下ろす際に、重さを計測し、それぞれの廃棄物の種類ごとの重さを把握します。
主な分類項目は、【廃プラスチック類】【木くず】【金属くず】【ガラス、コンクリ、陶磁器くず】【段ボール】【廃油】【古紙その他】【がれき類】です。
※全ての産業廃棄物収集運搬業者及び中間処理業者が上記のようにしているわけではございません。あくまでも一例です。予めご了承ください。
※上記は弊社が提携している産業廃棄物収集運搬業者の一部の事例です。
m³と重さの換算式を使うと、重く計算される傾向があるらしい
産業廃棄物収集運搬業者の多くは、重さではなく、m³で把握しているようです。
重さに換算するためには、環境省で公開している【産業廃棄物の体積から重量への換算係数(参考値)
】を使用します。
ただ、この換算係数は、「あくまでマクロ的な重量を把握するための参考値という位置付け」ということです。
弊社の産業廃棄物収集運搬業者の担当の方に伺ったところ、「この換算係数を使用すると、全ての品目で重く換算されてしまう」ということでした。
今回、同行いただいた産業廃棄物収集運搬業者では、【m³ではなく、重さ】で産業廃棄物の【排出量を把握】できるので、企業の温室効果ガス排出量の算定をする上では、有難い仕組みでした。
中間処理で圧縮、粉砕、分別、リサイクル!
今回、エコ・プランが提携している産業廃棄物収集運搬業者の担当の方に同行いただき、中間処理業者と最終処分場の見学をさせていただきました。
※弊社の産業廃棄物全てが今回ご紹介する中間処理業者や最終処分場で処理されているわけではございません。あくまでも一例なので、予めご了承ください。
中間処理の様子をご紹介します。
まず、廃棄された業務用エアコンなどを積んだトラックが、下の写真の左側の部分に、金属を含むもの(業務用エアコン)以外を、種類ごとに下ろします。(重さも計測します)
その後、右側に金属を含むもの(業務用エアコン)を下ろします。それらは、別の工場(千葉工場)に運ばれ、大きな破砕機で粉々にされて、金属や、素材ごとに機械で自動的に分別されます。
◆千葉工場の金属処理工程についてはこちらをご覧ください
https://www.tokometal.co.jp/recycle/flow/chiba.html
分別された種類ごとの金属は、メーカーやリサイクル業者に有価で買い取られます。
下の写真は金属をプレスする様子で、剝離工程が終了したベッドマットのスプリングやアルミくずが、このプレス機で圧縮されます。体積を小さくした状態で、メーカーやリサイクル業者に買い取られます。
※金属くずを圧縮する様子
金属以外のものは、廃プラスチック、木くず、紙くず、繊維くず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶器くずに分けられます。
細かな廃プラスチックや木くず等は下の写真のように、ラップされて、サーマルリサイクル(焼却し、熱を回収)用として買い取られていきます。
金属くずは、種類ごとに分けられます。
写真は銅くず。
キレイです。
木くず。
畳は固形燃料(廃プラ扱い)
あらゆるものを、国内で、何だかの形でリサイクルできるよう、分別するこの施設で、国内のリサイクルができないものがありました。
それは、ランケーブル等です。これらは細すぎて分別が難しく、国内では買い手がいないということで、海外に輸出されるようです。
※下記の太い電線は、有価で買い取られ、分別され、リサイクルされるようです。
最終処分場ってどんなところ?
最終処分場は、廃棄物の種類により、複数ありますが、その中の1社は、東京都江東区にありました。(今回ご紹介する最終処分場は、弊社の作業現場からの廃棄物処理の0.1%未満)
外観はこんな感じです。キレイで、匂いなどもありません。
上から見ると、こんな感じです。処理費必要な設備が集約され、格納されています。
全体の模型です。
廃プラスチックをはじめ、リサイクルできない紙くず、木くず、繊維くず、金属くず、動植物性残渣やゴムくず、燃え殻、汚泥(脱水後)、廃酸(容器入り)、廃アルカリ(容器入り)、ガラス、陶磁器くず、コンクリート、鉱さい、ばいじんが、この施設で処理されます。
1、まず、ガス化炉で鉄と、不燃物(ガラス、陶磁器くず)が、回収されます。
2、次に、旋回溶融炉で、灰がスラグになります。スラグは路面材等の原料として売却されます。
3、上記の過程で発生する熱で、発電(施設内の電力で消費&余剰分を施設外に売却)と排熱の利用が行われています。
※出典:J&T環境株式会社
下の写真は、スラグから作られた路面材です。
下の写真は、最終的にフィルタなどに付着した微細な処理灰で、これは、埋め立てられます。(処理量の2.5%だそうです)
最後に
今回見学させていただいた中間処理業者様は、オープンで、写真撮影やあらゆるデータがホームページに公開されていることを教えてくれました。
できる限り、廃棄物からリサイクルできる材料を取り出し、循環させようと、新しい分別、粉砕の機械を導入するなど、取り組みを進めていました。
それでも、人員不足などで、分別しきれないものは、サーマルリサイクル(焼却し熱回収)になってしまうということでした。
排出する側が、どれだけ配慮して、分別できるか、が、リサイクル率を効率的に上げるために不可欠だということがわかりました。
近年、サプライチェーンの取り組みが注目されています。
サプライチェーンの企業の状況を知ることで、サプライチェーンの温室効果ガス排出量を減らすためには、実は、自社の配慮が一番効果的であることが見えてきました。
社内で出来ることを検討し、取り組んで参ります。