弊社は2022年、CDPの自主回答に挑戦しました。
脱炭素経営を目指す中小企業の方々や、有価証券報告書及び有価証券届出書で、サステナビリティに関する企業の取り組みの開示の必要が生じた企業様は、CDPの自主回答をご検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
◆金融庁 有価証券報告書に【TCFD】と同等の開示を要求!
今回は、実際にCDPの質問書に回答してみて、どうだったのかをご紹介することで、CDP自主回答をご検討中の企業の方々の参考にしていただければと思い、まとめました。
目次
こうしてCDP自主回答は始まった
弊社がCDPの自主回答に挑戦するきっかけは、上司から、「CDPの自主回答に挑戦してみない?」と提案され、「最低ランクでもいいから」ということで、挑戦することにしました。
2019年の環境省の「中小企業向けSBT 再エネ100%目標設定支援事業」でSCOPE1,2の算定とSBT水準の目標を設定し、2021年、SBT(SME)認定を取得した直後でした。
TCFDの調査はしており、自社版のTCFDを作る場合は、こんな感じかな、というものは作っていましたが、まだまだ内容は不完全だったので、「時期尚早では?」と感じる部分や、CDP質問書は複雑で難しいイメージもあったので、不安が多い中での挑戦でした。
とにかく、弊社はCDP質問書対象企業でもなければ、サプライチェーンプログラムで質問書が届くわけでもなかったので、どのように申し込みすればいいのか、CDP Japan事務局に問合せするところから始まりました。
◆CDP自主回答申し込み方法についてはこちらの記事をご参照ください。
【CDPの質問書】届いてなくても ” 自主回答 ” できる!どうやるの?
前年度の質問書の全体構成と、質問内容を大まかに把握しよう!
2022年3月ごろ申し込みが完了し、質問書がオープンする4月中旬までの間は、質問書の全体構成や内容を確認しました。
SBTと違い、CDPは、日本に事務所があり、CDP Japanのウェブサイトも充実していて、【開示サポート】の部分に、丁寧な解説動画や説明資料がわかりやすく無料で公開されていました。(下図赤枠部分、他)
◆出典:CDP 公式ウェブサイト 開示サポート
CDPの質問書は、毎年項目が検討され、更新されますが、大方の質問は同じなので、どのような質問で構成されているのか、前年の質問書の内容を事前に確認しておくことをお勧めします。
質問書の内容って、どこに記載されてるの?
実際の質問書の内容がどこに記載されているのか、についてです。
CDPの公式ウェブサイトの【情報開示】の中に【企業の方はこちら】という部分があるので、クリックします。
次に、開いたページの【気候変動】をクリックします。
すると、下図のようなページになります。
御社の業種にチェックを入れた後、【次へ】をクリックします。
次の画面で、質問書の種類を選択します。スコアリングしてもらう場合は、【完全版】を選択します。
※自主回答の場合でも【完全版】は通常の質問書と同じ内容です。
次に、追加のサプライチェーン質問書を参照するかの設問があります。
弊社はサプライチェーン質問書も参照したかったので、【はい】にチェックを入れました。
いずれかを選択していただき、【次へ】をクリックすると、下図の質問書の内容が、解説と共に表示されます。
エクスポートもできます。(Wordの場合、112ページ)
下図の赤枠の【2022年 CDP開示サイクル】以降の部分を下にスクロールしていくと、C0からC16までの設問がひたすら続いています。
質問書の主な項目
質問は大きな項目として16種類あります。
弊社の回答をもとに、細かな質問項目を数えたら、478項目ありました。(質問項目数は業種や選択項目により変動します)
1つ1つの質問は難しく、意図を解釈して回答する必要があり、回答にも時間がかかります。そうした質問が沢山あります。
どれくらいの調査時間、回答時間が必要か、誰に協力してもらう必要があるか、目安をつけるためにも、事前に質問書の全体の内容を確認しておくとよいです。
でないと、せっかく費用をかけて回答に挑戦しても、提出期限に間に合わない可能性があります。
提出期限に間に合わないと、スコアリング(評価)されません。
その年の質問書が公開され、回答できる状態になってから、提出期限まで、限りがあるので、余裕をもって回答に取り掛かれるよう、事前にできることはやっておくことをお勧めいたします。
出典:[企業向け]CDP概要と回答の進め方
スコアリング基準も、目を通しておこう!
質問書の内容や構成の他、事前に確認できるもので、確認しておきたいのが、スコアリングの基準です。
スコアリングの基準もCDPの公式ウェブサイト上で公開されています。このスコアリングの基準も、全ての質問に対して、細かくルールがあり、読むだけでも大変です。
CDPの質問項目は、初回回答の場合、すぐに回答できるものは少ないと感じます。
集計や、社内体制を整える必要が発生するなど回答するための準備に時間がかかります。そのため、事前にスコアリング基準を知ることで、効率的に準備することができます。
もちろん回答する際もスコアリング基準を確認しますが、回答前にある程度分かったうえで、回答のイメージができる状態にしておくのが良いと考えます。
スコアリング基準は解説動画がCDPのウェブサイト【開示サポート】の中にあるので、ご参照ください。
出典:CDP 開示サポート
その他、事前にできることで、弊社が来年に向けて、回答着手前にやっておきたいと考えていることは下記です。
質問ごとに回答する担当者を決めておこう!
今年弊社が挑戦するうえで、最初に取り掛かった方法として、1人の担当者が回答できるところまで回答し、上役にチェックしてもらう、という流れでした。
しかし、担当者では回答できない質問が多く、回答できたとしても不十分な内容でした。
途中からガバナンスや企業のリスク、機会の部分は執行役員の上司に回答をお願いする形になりました。
最初の役割分担が明確ではなく、余計な時間がかかってしまったので、初めから、質問の回答者として適切な方に回答してもらえるよう、事前に担当を決めておくことがポイントです。
例:ガバナンス、リスクと戦略部分 → 【 執行役員 】
データ部分 → 【 担当者 】
協力してもらう可能性のある部署や担当者へ声をかけておこう!
CDPの質問書に回答するためには、SBTやSCOPE1,2,3の算定で使用したデータ以外にも必要なデータがありました。
データを管理する部署の方には、CDP自主回答が始まる4月中旬から提出期限である7月下旬までの間で、協力してもらう可能性があること、質問書の内容や、出す必要があるデータについて、事前に共有しておくとスムーズだと考えます。
最後に
今回は、CDPの質問書に自主回答するきっかけから、事前準備までを解説させていただきました。とにかく、事前に確認できる資料が沢山あります。
また、その年度の質問書がオープンした後の5月は、CDPの質問書回答に関するセミナーが立て続けに実施されます。※無料(資料や動画はCDP公式ウェブサイトで公開されます)
※CDP公式ウェブサイト 【イベント】参照
そのセミナーの内容も把握する必要があるので、自社の質問書の回答を進めながらの情報把握は、スケジュールが次々にCDPで埋まっていく印象でした。
CDP自主回答に挑戦する場合は、5月、6月、7月のスケジュールに余裕が必要です。万全の態勢で準備しておきたいところです。
次回は、実際のCDP回答について、ご紹介予定です。
弊社は、CDPの質問書回答に挑戦して、良かった、と感じています。それは、世界の脱炭素社会への潮流に対する理解や自社が置かれている立場への理解、そして企業戦略にプラスになったからです。
今回の記事や、これからの記事が、「うちも挑戦してみようかな」といった、きっかけにつながり、1社でも「あの時、挑戦しておいて、本当によかった」と思ってもらえたら、嬉しいです。
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