東京都文京区にある私立学校で助成金を活用した体育館のエアコン新設工事を行いました。お客様は夏場の熱中症対策として、体育館への空調機新設を検討されていました。
しかし、工事のために体育の授業と部活動を中止にすることができず、さらに同時期に別業者による体育館の床の張り替えも予定していました。そのため、全体の工期が限られており、日程調整が難しいという問題点を抱えていました。また、空調機の新設にあたり、各社から御見積りを取っていましたが、想定以上に見積もり金額が高く予算も取れない状況だったそうです。
予算取りに苦労されているお客様の問題点を解決するために、弊社にて東京都私学財団様から出る、令和3年度の体育館空調新設の助成金活用工事を提案しました。助成金活用の条件である、災害時に地域の避難所として利用するための協定を事前に文京区役所と取り交わしていただき、御発注をいただきました。
全体の工期が限られた中での作業でしたので、別業者の床張り替え作業とのバッティングに注意して区画を分けて工事を行い、授業等に支障をきたさない工程を組みました。室外機の設置位置が限られていたため、新設する空調機については、ビル用マルチエアコン(※1)とパッケージエアコンを導入することで、室外機の設置台数を減らし大きさを配慮した設計を考えました。
(※1)ビル用マルチエアコンとは、1台の室外機で複数の室内機を個別に運転させることが可能です。
体育館の構造上、室内機の設置可能場所が低く、人とエアコンとの距離が近いため、広さに見合うエアコンを選定してしまうと風量が強すぎるという問題がありました。そのため、広さに見合うエアコンよりも能力を下げた6馬力以下の機器を選定し、加えてエアー搬送ファンを設置することで能力を下げたことによる室内機の風量不足の調整を可能にしました。
体育館への空調機新設工事にあたり、下記3点に配慮して工事を行いました。
- 体育館内での競技に支障をきたさないように、バスケットボールのリングやハンドボールのゴール付近を避けた配置にする
- 配管類は、体育館の見栄えやボールによる破損から守るために、全て天井内に隠ぺいする
- 室外機に生徒やボールがぶつかって故障しないように、防球ガードを設置して保護する
学校の所在地が第一種低層住宅専用地域(※2)に指定されており、騒音規制があったため室外機に防音ダクトを活用することで騒音の基準をクリアすることができました。
(※2)第一種低層住宅専用地域とは、13ある用途地域のひとつで最も厳しい規制がある地域です。住環境優先のため高い建物や騒音を出すような用途の建物は建設することができません。
様々な制限がある中での工事となりましたが、お客様の希望工期内で作業を完工させることができました。今回は助成金を活用しての工事でしたので、申請書類の提出が必要でしたがお客様の協力もありスムーズに進めることができました。工事完了後には「エアコンを設置してから初めて迎える夏を楽しみにしています」というお言葉をいただきました。
その他、学校体育館への空調機新設工事の事例については、下記リンクをご参照ください。
コラム
- 私立学校体育館空調設備新規導入費助成金
令和3年度より新たに導入された助成金事業で都内の私立小学校・中学校・高等学校・特別支援学校、専修学校(高等課程)が対象となっています。
エアコンを新設することで、体育館内での熱中症事故発生を防止することはもちろん、災害時に体育館を避難所として提供することを国や各自治体と合意することが条件となっています。
助成対象の経費限度額は1校あたり3000万円で、対象となる経費の1/2の補助を受けることができます。
現在、令和4年度の助成事業概要も公開されております。
※交付申請期間:令和4年8月1日(月)~10月31日(月)まで
詳しくは、下記サイトをご参照ください。
出典:公益財団法人東京都私学財団
令和4年度 私立学校体育館空調設備新規導入費助成事業のしおり