令和3年、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)が改正されました。2050年に温室効果ガス排出を0にすることが明記され、企業の排出データも手続きなしで公開され、地方自治体に対しても、施策目標が追加されることになりました。
今回は地方自治体の動きについて、解説します。
地球温暖化対策計画ってなに?
1998年に公布された温対法に基づき、2016年に閣議決定されたのが、地球温暖化に関する総合計画「地球温暖化対策計画」です。
目標達成のため、国、地方公共団体が講ずべき施策等について記載されています。菅首相の2050年脱炭素宣言を受け、地球温暖化対策計画は、2020年9月、環境省と経産省が見直しに着手しています。
2021年11月のCOP26までに国連に提出する予定となっています。
そのため、2050年に温室効果ガス排出を0にする目標に書き換えられた「地球温暖化対策計画」はまだ公開されていません。
■2016年の地球温暖化対策計画
(確実に変更される部分:2030年26%減 → 46~50%減、2050年80%減 → 100%減)
※環境省 地球温暖化対策計画の概要
地方公共団体実行計画ってなに?
地方公共団体実行計画は、国の「地球温暖化対策計画」に即して、地方公共団体が作成する計画です。 大きく分けて「事務事業編」と「区域施策編」があります。※区域施策編に、施策目標が追加される。
都道府県、市区町村ごとの計画の見方
各都道府県の市区町村でどのような計画が立てられているのか、見てみたい!そんなときは、下記をご覧ください。
①地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト(https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/)の【策定・取組状況】をクリック
②【策定状況一覧】の知りたい都道府県の【都道府県別データダウンロード】をクリック
③ダウンロードされたデータを開くと、市区町村ごとの【事務事業編】、【区域施策編】のURLが一覧で出てきます。
④URLをクリックすると、都道府県、市区町村ごとの計画が、年度ごとに表示されます。
⑤知りたい年度のリンクをクリックすると、行動計画や結果が掲載された資料が表示されます。
都道府県、政令市、中核市は再エネ目標追加!
現状(温対法改正前)の地方公共団体実行計画では、再エネ導入目標を設定している都道府県は約3割にとどまっていました。
今回の改正で、都道府県、政令市、中核市は再エネ目標を追加することになり、その他の市町村については、目標を定めることに努める、こととなりました。2025年までに都道府県の実行計画における再エネ目標策定率を30%から100%にすることを目指すとしています。
※出典;環境省 地球温暖化対策推進法の一部改正法案及び再エネポテンシャル調査について
地域脱炭素化促進事業と認定制度について
■地域脱炭素化促進事業とは
※温対法 第2条 6から抜粋
太陽光、風力その他の再生可能エネルギーであって、地域の自然的社会的条件に適したものの利用による地域の脱炭素化(次条に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、地域の自然的社会的条件に応じて当該地域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減等を行うことをいう。以下同じ。)のための施設として環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定めるもの(以下「地域脱炭素化促進施設」という。)の整備及びその他の地域の脱炭素化のための取組を一体的に行う事業であって、地域の環境の保全のための取組並びに地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組を併せて行うものをいう。
地域脱炭素化促進事業の認定制度について、詳細を環境省に確認したところ、現在検討中で、年度内にマニュアルを作成し、自治体に説明をしていく予定、ということでした。
各自治体では「地域の自然的社会的条件に応じた環境の保全に配慮」する形での対応になるため、それぞれの地域で認定基準が変わることも十分考えられるということでした。
まとめ
日本の1718ある市区町村の計画の【事務事業編】、【区域施策編】を全て確認するのは、難しいですが、自分が住む地域や、勤務地がある地域、地元の地方公共団体実行計画を確認すると、それぞれの地域の違いがわかり、地域の見方も変わるのではないでしょうか。
2050年脱炭素宣言を受けた温対法の改正で、これらの地方自治体の計画がどのように変わるのか、関心をもってみていけば、温対法を身近に感じることができます。
企業経営や私生活に、温対法と関連した地域の取り組みへの参加の機会ができたら、お互いにメリットがありそうです。