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【簡単に教えて!】責任投資原則 PRIって何?

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脱炭素関連
PRI イメージ

近年の環境問題に対する関心の高まりから、投資家に、企業の環境問題に対する施策などを考慮した上で投資行動を行う、【投資における責任】が問われています。今回は、そのような投資行動を推進している、「PRI」について説明いたします。

PRIって何?

責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)とは、2006年にコフィ-アナン第七代国連事務総長の提唱により、国連環境計画と金融イニシアティブ、及び国連グローバル・コンパクトとのパートナーシップが打ち出した投資に対する原則のことです。

その内容は、投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESG情報を考慮した投資行動をとることを求めるものでした。

ESGって?

ESGは、
【 E 】 : Environment – 環境
【 S 】 : Social – 社会
【 G 】 : Governance – 企業統治
を指します。
これらの要素を投資の分析や意思決定、株主行動に取り込むことが求められています。

ESGに関する課題を、投資の際の意思決定に組み込むことにより、お金を流す側である投資家の行動が変わり、お金を受け取る側である企業の行動も、持続可能な方向へと促進されることが期待されています。

成長し続けるPRI

PRIは、2006年に発足して以来、一貫して成長を続けています。

PRIの成長

縦軸の左のメモリは、署名機関の運用資産総額を表しており、単位は兆ドル(1兆ドル≒104兆円)です。縦軸の右のメモリは、署名機関数を表しています。

参照:PRI

2020年11月時点で、PRIの署名機関数は3470機関、その署名機関の運用資産総額は約100兆ドル(おおよそ1京円)にも上ります。

世界最大の国家予算を誇るアメリカの国家予算(3兆3000億ドル(2017年の歳入))の30倍に相当します。

参照:世界の国家予算ランキング(2017年度情報)

このことから、PRIがいかに大きな力を持っているかがわかります。

賛同機関例

日本では2020年11月で、87の投資機関が賛同しています。

 ・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
 ・株式会社社日本政策投資銀行(DBJ)
 ・労働金庫連合会
 ・企業年金連合会
 ・日興リサーチセンター株式会社
 ・野村不動産投資顧問株式会社
 ・株式会社かんぽ生命保険
 ・みずほ不動産投資顧問株式会社
 ・三井住友信託銀行株式会社
 ・株式会社りそな銀行
 ・三菱地所投資顧問株式会社
 ・三菱UFJ国債投資株式会社
 ・日本生命保険相互会社
 ・第一生命保険株式会社
 ・明治安田アセットマネジメント株式会社
 ・大同生命保険株式会社
 ・MS&ADインシュアランス グループホールディングス株式会社
 ・・・


どうして署名機関が増えているの?

署名機関増加

では、なぜPRIに署名する機関が増え続けているのでしょうか。

その理由としては、気候変動による異常気象などの影響が、企業経営や投資をするうえで、最大のリスクとなっていることが挙げられます。

また、2020年12月時点で世界の123か国が、2050年に温室効果ガス0を宣言しており、アメリカと中国(2060年にカーボンニュートラル宣言)を加えれば、世界の大半の国が温室効果ガス0を目指していることになります。

こうした中、ESGに配慮しない企業に将来性がない認識が世界中に広がっていることが、PRIの署名機関の増加につながっていると考えられます。

カーボンニュートラル宣言国

※引用:経産省 令和2年12月 2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き

PRIの原則を簡単に教えて!

PRIは、以下の6つの責任投資原則を実施することを促しています。

  1. 投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込むこと
  2. 活動的な株式所有者になり、株式の所有方針と所有慣習にESG問題を組み入れること
  3. 投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めること
  4. 資産運用業界において原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行うこと。
  5. 原則を実行する際の効果を高めるために、協働すること。
  6. 原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告すること。

つまり、PRIは、署名機関に対して、投資活動の際にESGの要素を考慮すること、また投資対象にESG情報の開示を求めることを促しています。

さらに、署名機関同士で交流し学ぶこと、そしてPRIの輪を広げることを促しています。

PRIが求めるESG情報は、どう開示すればいいの?

ESG

企業は、ESG情報をどのように開示すればよいのでしょうか。

開示方法の一例として、TCFDに沿った開示を行う、という方法が挙げられます。

TCFDって?

TCFDは、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)のことです。
TCFDは、企業に対して、【ガバナンス】、【戦略】、【リスク管理】、【指標・目標】の4項目について、自社への財務的影響のある気候関連情報を開示するよう勧めています。
気候変動が深刻化した場合や緩和された場合など、様々なシナリオについて考え、それぞれの状況への対策を打っておく、という「シナリオ分析」を行うことが推奨されています。

TCFDに基づいて、企業が、気候変動によって自社に発生するリスクを考え、その情報を開示することが、ESG情報の開示となります。

TCFDについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
気候危機のリスクを、企業価値に反映する手法【TCFD】とは?

取り組みが不十分だと除名も?!

PRIはESG投資への取組状況が不十分で、最低履行要件を履行しなかった場合、その機関を除名するとしています。

◆最低履行要件
 ・運用資産総額(AUM)の50%を超える運用をカバーする責任投資ポリシーの制定
 ・内部/外部スタッフによるRIポリシーの実施
 ・RI実施に関する経営陣のコミットメントと説明責任メカニズム

参照:PRI

実際に除名された機関は公開されています。また除名注視リストがあり、対象となった機関は連絡を受けてから2年以内に履行できなければ除名となります。

PRI 除名

引用:PRI

最後に

企業は、持続可能な企業経営を行うためにも、投資対象から外されないためにも、ESG情報の開示や取り組みを迅速に、積極的に行うことが求められます。

弊社は、株式公開をしていないため、直接PRIとの関わりはありませんが、ESG情報の開示などの取り組みを率先して行ってまいります。

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