私たちは毎年のように地震や台風などの自然災害に遭遇し、多大な影響を受けています。ここ数年を振り返ってみても、2018年の北海道胆振東部地震による長期に渡る大規模な停電、2019年の台風15号による千葉県の大規模停電など、企業活動に大きな損害を与えるレベルの停電が頻発しています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる経済被害も、もはや災害といっても過言ではないレベルにあり、今後の事業計画に不安を覚える事業者様も多いのではないでしょうか。
将来の事業計画を立てる上で、先述の”想定外”のリスクに対して受動的でありつづけることは賢い選択ではありません。
早い段階でBCP(事業継続計画)の策定に取り掛かり、不測の事態に対して粘り強さを持つ企業になるためには、自社のリスクを減らすのみならず、不測のリスクへの従業員の不安を和らげ、災害時にも企業活動を維持できるということで、取引先からの信頼を得ることにも結び付きます。
エコ・プランでは不測の事態における粘り強さ・しなやかさの獲得を目指す皆様の支援をさせていただきます。
目次
BCP(事業継続計画)とは
台風や地震などの自然災害やテロ、感染症の蔓延などの緊急事態に直面したとき、自社の事業への被害を最小限に留めつつ、事業の継続(早期の再開)を可能とするためにはどうすればよいのか、の計画です。
緊急時にどの事業を優先して継続・復旧させるのか、また、そのために平常時からできること、しておかなければならないことは何なのかを定めます。
「緊急事態」は、もちろん突然発生するものです。BCPを事前に定めることで、突然の脅威に対して慌てることなく対応することができるようになります。結果として、企業のヒトも、モノも、カネも、守られるのです。
中小企業においてもBCPの策定は推奨されており、内外に対して企業の信頼を得るためにはBCPの策定は必須のものとなっていくでしょう。
BCPを策定するメリット
BCPが策定されているということは、様々な緊急事態を想定し、その際に企業活動を一定の範囲で維持することを目指しているということです。
一般に、大地震などの緊急事態に遭遇した企業の操業率は低下しますが、BCP策定により「事業の継続力」を強化することで、不測の事態における事業縮小や倒産のリスクを下げることができます。
下図に示すように、すでにBCPを策定済みの中小企業は3割程度にとどまります。ただし、自然災害リスクが増大している中、大手企業のみならず、日本の企業の99.7%を占める中小企業もBCPを策定していく必要があるのではないでしょうか。
経営基盤が整っていない企業ほど、緊急事態には脆弱になります。BCPを練り、緊急事態への備えをしておくことは、この脆弱性への対策になるのです。
出典:平成29年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(内閣府防災担当, 2018年3月)
また、中小企業庁は「事業継続力強化計画の認定制度」を定め、ここで認定を受けた企業は税制優遇・金融支援・予算支援などの支援策が受けられます。中小企業等経営強化法-事業継続力強化計画策定の手引きに、わかりやすく記載されているので、是非ご活用ください。
東京都中小企業振興社ではBCPの実践に必要な費用の最大4/5を補助する助成事業も行っています。
事業の継続力を高めるための方策の例
太陽光発電+蓄電池
太陽光発電(ソーラーパネルによる発電)は、太陽光の光エネルギーを電力に変換する仕組みです。家庭での導入も進んでいますが、ソーラーパネルのみでは電気を蓄えることができず、夜間や曇天などの光が得られない状況では電力を利用できません。
そこで、蓄電池(電力を貯める装置)を導入することで、日中にソーラーパネルで発電した電力を貯蔵し、太陽の出ていない時間帯に引き出すことができるようになります。
発電から蓄電まで一つの建物の中で完結するため、災害時など、送電網が機能しなくなった際にも永続的に電力が供給され、事業の継続が可能となります。
また、太陽光は日常の電力供給源ともなり、余った電力の売却も可能です。
先述の東京都中小企業振興社の助成事業においても太陽光パネルと蓄電池の組み合わせによる自家発電装置はその一部が助成対象となっています。
燃料電池を用いた非常時用の自家発電装置
燃料電池はその名前から電池のイメージがあるものの、実態は「水素を燃料とした発電装置」です。ガソリンを利用する一般的なエンジン式発電機のような騒音やにおいもなく、緊急時にも利用しやすい電力源です。
導入経費が高額であるというデメリットもありますが、東京都では「水素を活用したスマートエネルギーエリア形成推進事業(業務・産業部門)」として、業務用の燃料電池の導入に係る経費の最大2/3を補助金として助成しています。
これ以外にもデータバックアップのためのシステムや非常食・浄水器等の備蓄、水害対策物品(土嚢など)の設置、COVIDのような危機に対応するための感染症対策のための備蓄なども挙げられます。
BCPの策定にあたっては、中核事業を何に設定するか、どんな災害がその中核事業に影響を与えるなどの分析が必要です。ここで上げた2つの例は、多くの事業にとってクリティカルな電力供給のレジリエンスを高めるための施策です。
BCP(事業継続計画)に関することならなんでもご相談ください
特に、中小企業がBCPを策定するにあたっては国や都道府県からの様々な補助金を活用できる可能性が高いです。BCPの策定は直接的に利益を生む事業ではありませんが、周囲からの信頼を獲得し、また、自然災害などの緊急時の倒産や事業縮小のリスクを低減することができます。
BCPの策定テンプレート【中小企業BCP策定運用指針】がBCPの普及促進のために中小企業庁により作成されています。中小企業の実情を踏まえたBCPの策定・運用の具体的な方法が示されておりますので是非ご参照ください。
補助金を有効活用してスマートにBCP策定を進めませんか?エコ・プランではBCP策定のお手伝いをいたします。